【歯科医監修】歯槽膿漏の治療法|進行度別にわかる5ステップと費用・期間

歯槽膿漏の治療で最も大切なことは、ご自身の進行度を正確に把握し、原因となる細菌を根本から取り除くことです。
この記事では、初期の歯肉炎から重度の歯槽膿漏まで、進行度別の治療ステップと費用、期間の目安を歯科医師が詳しく解説します。
なおみ歯がグラグラだけど、もう手遅れなのでしょうか…
青木院長諦めないでください。進行度に合った適切な治療で、歯を守ることは十分に可能です。
- 歯槽膿漏の進行度別にわかる治療のゴール
- 歯科医院で行われる治療の具体的な5ステップ
- 治療にかかる費用・期間と保険適用の範囲
- 再発を防ぐためのセルフケアと歯科医院の選び方
歯槽膿漏の進行度別セルフチェックと治療ゴール
歯槽膿漏の治療を始める前に、ご自身の状態がどの段階にあるかを正確に把握することが何よりも重要です。
進行度によって目指すべき治療のゴールが大きく異なるため、まずはセルフチェックで現状を確認してみましょう。
| 進行ステージ | 主な症状 | 歯周ポケットの深さ | 治療ゴール |
|---|---|---|---|
| ステージ1:歯肉炎 | 歯磨き時の出血、歯茎の赤み・腫れ | 2〜3mm | 歯磨きとクリーニングによる炎症の完全な鎮静 |
| ステージ2:軽度歯周炎 | 歯茎の腫れが悪化、冷たいものがしみる | 3〜4mm | 歯石除去による進行の阻止 |
| ステージ3:中等度歯周炎 | 歯がぐらつく、口臭が強くなる、歯茎から膿が出る | 4〜6mm | 外科処置も視野に入れた歯周ポケットの改善 |
| ステージ4:重度歯周炎 | 歯のぐらつきがひどい、硬いものが噛めない、歯が抜ける | 8mm以上 | 歯を残すための専門的な外科手術 |
ご自身の症状がどのステージに近いかを知ることで、今後の治療に対する心構えができます。
ただし、正確な診断は歯科医師でなければできないため、あくまで目安として捉え、必ず専門家の診察を受けてください。
ステージ1・歯肉炎、歯茎のみの炎症
歯肉炎(しにくえん)とは、歯周病の最も初期の段階で、炎症が歯茎だけに限定されている状態を指します。
歯と歯茎の境目に溜まった歯垢(プラーク)が原因で、歯磨きの時に出血するのが代表的なサインです。
この段階では、まだ歯を支える骨(歯槽骨)は破壊されていません。
なおみ歯茎から血が出るだけなら、まだ大丈夫ですよね?
青木院長油断は禁物です。歯肉炎は歯周炎への入り口であり、この段階で食い止めることが重要ですよ。
毎日の丁寧な歯磨きと、歯科医院でのクリーニング(歯石除去)によって、健康な歯茎を取り戻せます。
痛みがないからと放置せず、早めに対処しましょう。
ステージ2・軽度歯周炎、歯を支える骨の破壊開始
軽度歯周炎(けいどししゅうえん)は、炎症が歯茎だけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)にまで広がり、骨が溶け始めた状態です。
歯と歯茎の溝である「歯周ポケット」が3〜5mmまで深くなり、歯茎の腫れも目立つようになります。
歯石が歯の根の表面に付着し始め、セルフケアだけでは除去が難しくなります。
なおみ骨が溶け始めたと聞くと、もう手遅れな気がしてしまいます…
青木院長ご安心ください。軽度の段階なら、歯科医院での専門的な歯石除去で進行を止められます。
このステージでの治療ゴールは、スケーリング・ルートプレーニングと呼ばれる処置で歯周ポケットの奥深くの歯石を徹底的に取り除き、歯周病の進行を食い止めることです。
ステージ3・中等度歯周炎、歯のぐらつきと排膿
中等度歯周炎(ちゅうとうどししゅうえん)まで進行すると、歯槽骨の破壊がさらに進み、歯を支える力が弱まってきます。
歯周ポケットは4〜7mmと深くなり、指で押すと歯が少し動く「動揺」が見られるようになります。
歯茎を押すと白い膿(うみ)が出たり、強い口臭を感じたりするのもこの時期の特徴です。
なおみ歯がグラグラして、膿まで出るなんて…もう抜くしかないのでしょうか?
青木院長諦めるのは早いです。外科的な処置も選択肢に入れることで、歯を残せる可能性は十分にあります。
歯周基本治療に加えて、フラップ手術などの歯周外科治療を行い、深い歯周ポケットを改善することが治療のゴールになります。
清掃しやすい環境を整え、これ以上の骨の破壊を防ぎます。
ステージ4・重度歯周炎、歯の喪失リスク
重度歯周炎(じゅうどししゅうえん)は、いわゆる「歯槽膿漏」と呼ばれる末期の状態で、歯を支える骨が半分以上失われています。
歯周ポケットは8mm以上にも達し、歯が大きくぐらついて食事に支障をきたします。
歯茎は赤黒く腫れあがり、何もしなくても歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。
なおみここまでひどいと、もうどんな治療も無駄な気がします…
青木院長たとえ重度であっても、専門的な再生療法などで歯の寿命を延ばす方法があります。最後まで希望を捨てずに相談してください。
この段階では、歯を残すための最終手段として、フラップ手術や歯周組織再生療法といった高度な外科治療が検討されます。
残せる歯を最大限に活かし、お口全体の機能を回復させることが治療のゴールです。
歯槽膿漏治療の具体的な流れ5ステップ
歯槽膿漏の治療は、闇雲に進めるのではなく、現在の状態を正確に把握し、科学的根拠に基づいたステップを踏むことが何よりも重要です。
検査から始まり、原因除去、効果判定、専門的な処置、そして再発予防まで、一つひとつの段階には大切な意味があります。
ここでは、歯科医院で行われる標準的な治療の流れを5つのステップに分けて詳しく見ていきましょう。
どのステップもあなたの歯を守るために不可欠です。不安なことも多いと思いますが、私たち専門家と二人三脚で乗り越えていきましょう。
ステップ1・現状を把握する精密検査とカウンセリング
治療の第一歩は、現在の歯茎や歯を支える骨の状態を正確に把握するための精密検査から始まります。
これが今後の治療計画を立てるための重要な土台となります。
具体的には、歯と歯茎の溝の深さを1mm単位で測定する歯周ポケット検査や、レントゲン撮影で骨の溶け具合を確認します。
歯周ポケットが4mm以上あると、歯周病が進行しているサインです。
なおみどんな検査をするのか、費用はどれくらいかかるのか、最初に全部教えてもらえるのかしら…
青木院長はい、検査結果をもとに治療計画、期間、費用の概算を丁寧にご説明しますのでご安心ください
この最初の段階で、ご自身の状態を正しく理解し、治療のゴールを共有することが、安心して治療を進める上で欠かせません。
ステップ2・原因菌を除去する歯周基本治療(スケーリング)
歯周基本治療とは、歯槽膿漏の直接的な原因であるプラーク(歯垢)や歯石を徹底的に除去する、治療の中心となる処置です。
スケーラーという専用の器具を使い、歯の表面だけでなく、歯周ポケットの奥深く、深さ数ミリに付着した歯石まで丁寧に取り除いていきます。
これをスケーリング・ルートプレーニングと呼びます。
| 治療内容 | 概要 |
|---|---|
| 歯磨き指導(TBI) | 毎日のセルフケアの質を向上させるための個別指導 |
| スケーリング | 歯の表面や歯茎の縁に見える歯石の除去 |
| ルートプレーニング | 歯茎の奥深く、歯根に付着した歯石や汚染物質の除去 |
この治療によって歯の表面をツルツルにし、細菌が再び付着しにくい環境を整えることで、歯茎の炎症を改善させていきます。
ステップ3・治療効果を確認するための再評価
再評価とは、歯周基本治療によって歯茎の状態がどの程度改善したかを客観的に確認するための検査です。
治療の成果を判定する大切な工程になります。
基本治療を終えてから1ヶ月から数ヶ月後に、再び歯周ポケットの深さを測定し、出血や排膿の有無をチェックします。
なおみ一度きれいにしてもらっても、またすぐに悪くならないか心配…
青木院長ご安心ください。この再評価で改善が不十分な部分を特定し、次の最適な手を打つことができます
この検査結果で歯周ポケットが浅くなり、炎症が治まっていればメンテナンスへと移行します。
しかし、深いポケットが残っている場合は、次のステップである外科治療を検討することになります。
ステップ4・深い歯周ポケットを改善する歯周外科治療
歯周外科治療は、基本治療だけでは取りきれない、歯周ポケットの深い場所にある歯石や汚染された組織を、歯茎を少し開いて直接的に除去する治療法です。
代表的なものに、歯茎を切開して汚れを取り除くフラップ手術(保険適用)や、特殊な材料を用いて失われた骨を再生させる歯周組織再生療法(主に自費診療)があります。
| 治療法 | 目的 | 保険適用 |
|---|---|---|
| フラップ手術 | 深い部分の歯石を直接見て除去し、歯周ポケットを浅くする | 適用 |
| 歯周組織再生療法 | 失われた歯周組織(骨など)を再生させ、歯の支持を回復する | 一部を除き自費 |
手術と聞くと怖く感じるかもしれませんが、大切な歯を抜歯から守るための有効な手段です。
麻酔をして行いますので、痛みは最小限に抑えられます。
ステップ5・再発を防ぐための定期的なメンテナンス
メンテナンスは、治療によって得られた健康な状態を維持し、歯槽膿漏の再発を防ぐために行う、定期的なプロフェッショナルケアです。
治療のゴールではなく、健康な口腔内を保つための新しいスタートと考えます。
一般的には3ヶ月から6ヶ月に一度のペースで来院いただき、歯周ポケットのチェックや専門的なクリーニング(PMTC)を行います。
なおみ治療が終わったのに、どうして通い続けないといけないの?
青木院長歯槽膿漏は再発しやすい病気だからです。ご自宅のケアだけでは除去しきれない細菌の膜を、定期的にリセットする必要があります
定期的なメンテナンスを継続することが、長期的にご自身の歯を守り、将来的な治療費を抑えることにも繋がります。
歯槽膿漏治療の費用・期間と保険適用の範囲
歯槽膿漏の治療を考えるとき、費用や期間は大きな心配事になりますよね。
治療内容は歯周病の進行度によって大きく異なり、それに伴って保険が適用される範囲や治療にかかる費用・期間も変わります。
安心して治療に専念できるよう、ここでは進行度別の治療期間の目安から、保険適用と自費診療の違い、そして費用の負担を軽減できる医療費控除制度まで、お金と時間に関する情報を分かりやすく整理して解説します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、治療計画を立てる際の参考にしてください。
進行度別の治療期間の目安
歯槽膿漏の治療期間は、炎症の範囲や骨の破壊の程度といった歯周病の進行度によって決まります。
初期段階であれば比較的短期間で終わりますが、症状が進んでいるほど、治療ステップが増えるため数ヶ月から1年以上の期間が必要になることもあります。
治療が完了した後も、再発を防ぐための定期的なメンテナンスが欠かせません。
| 進行度 | 治療期間の目安 | 通院回数の目安 |
|---|---|---|
| 歯肉炎(初期) | 1ヶ月〜2ヶ月 | 2回〜4回 |
| 軽度歯周炎 | 2ヶ月〜6ヶ月 | 4回〜8回 |
| 中等度歯周炎 | 6ヶ月〜1年 | 8回〜15回 |
| 重度歯周炎 | 1年以上 | 15回以上 |
なおみ治療って、どのくらいの期間通えばいいのかしら…
青木院長進行度によりますが、全体の目安を知っておくと治療計画が立てやすくなりますよ
上記の期間はあくまで一般的な目安です。
お口の中の状態や、治療への反応によって個人差が生じるため、担当の歯科医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
保険適用で行える治療の内容と費用
日本の公的医療保険制度では、歯槽膿漏は病気として認められているため、健康保険を使って定められた費用で基本的な治療を受けられます。
初診時には検査や診断で3,000円から5,000円程度(3割負担の場合)かかります。
その後、歯石除去などの歯周基本治療は、範囲によりますが1回あたり1,000円から3,000円程度が目安となります。
| 治療内容 | 費用の目安(3割負担) | 概要 |
|---|---|---|
| 歯周病検査 | 1,000円~3,000円 | 歯周ポケット測定、レントゲン撮影など |
| スケーリング(歯石除去) | 1,000円~3,500円 | 歯茎の上に見える歯石の除去 |
| ルートプレーニング | 600円~1,000円(1歯あたり) | 歯周ポケットの奥深くにある歯石の除去 |
| 歯周外科治療(フラップ手術) | 5,000円~15,000円(範囲による) | 歯茎を切開して行う歯石除去 |
保険診療は、歯槽膿漏の進行を食い止め、お口の健康を取り戻すために必要な処置を網羅しています。
まずは保険適用の範囲でしっかりと基本治療を行うことが改善への近道です。
自費診療となる先進治療(再生療法・レーザー治療)の費用
自費診療(自由診療)とは、保険が適用されない最新の材料や技術を用いて、より高いレベルでの機能回復や見た目の美しさを追求する治療法です。
歯周病によって失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」は、1箇所あたり5万円から15万円程度が相場です。
また、痛みを抑えながら殺菌効果が期待できる「レーザー治療」は、数千円から数万円程度で受けられます。
| 治療法 | 費用目安 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 歯周組織再生療法 | 50,000円~150,000円 | 失われた歯を支える骨の再生が期待できる |
| レーザー治療 | 5,000円~30,000円 | 痛みが少なく、治癒を促進する効果がある |
なおみ自費の治療は高額そうで不安だわ…
青木院長それぞれのメリットやデメリットを理解し、ご自身に合った治療法を選択することが大切です
自費診療はすべての人に必要なわけではありません。
保険診療で改善が見られない場合や、より良い結果を求める場合の選択肢の一つとして、歯科医師とよく相談して決定することが重要です。
医療費控除制度の活用方法
医療費控除とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の合計額が一定の金額を超えた場合に、確定申告を行うことで納めた税金の一部が戻ってくる制度です。
歯槽膿漏の治療にかかった費用もこの対象となります。
例えば、ご自身と生計を同一にする家族の医療費を合算して年間10万円を超えた場合に申請が可能です。
通院にかかった交通費(公共交通機関)も対象に含まれます。
| 対象になる費用 | 対象にならない費用 |
|---|---|
| 歯科医師による診療・治療費 | 審美目的のホワイトニング費用 |
| 治療に必要な医薬品の購入費 | 自家用車で通院した場合のガソリン代 |
| 通院のための公共交通機関の交通費 | 歯ブラシや歯磨き粉などの購入費 |
医療費控除を申請するためには、領収書の保管が必須となります。
家族全員分の領収書をまとめて大切に保管しておきましょう。
制度の詳しい内容については、国税庁のホームページなどで確認できます。
治療後のセルフケアと信頼できる歯科医院の選び方
歯槽膿漏の治療が無事に終わっても、そこで終わりではありません。
治療で取り戻した健康な状態を維持し、再発を防ぐためには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なプロのケアを両立させることが最も重要です。
ここでは、ご自宅でのケアの限界から、正しい歯磨きの方法、そして生涯にわたって付き合える歯科医院の選び方まで、詳しく解説していきます。
セルフケアの質を高め、信頼できるパートナーとしての歯科医院を見つけることが、治療効果を最大限に引き出し、あなたの口腔健康を守り続けます。
歯槽膿漏は自分で治せない|市販薬や歯磨き粉の限界
結論から申し上げると、一度進行してしまった歯槽膿漏を市販薬や歯磨き粉だけで自分で治すことはできません。
なぜなら、歯槽膿漏は歯周ポケットの奥深くに潜む細菌が原因の感染症であり、その原因を根本から取り除くには専門的な器具と技術が必要だからです。
歯周ポケットの深さが3mm以上になると、歯ブラシの毛先は届かず、市販の薬用歯磨き粉の有効成分も内部まで浸透しません。
市販薬はあくまで歯茎の炎症を一時的に和らげる対症療法であり、原因である歯石や細菌の塊(バイオフィルム)を除去する効果はないのです。
なおみ歯槽膿漏に効くという市販薬では、根本的な解決にならないのでしょうか?
青木院長市販薬は炎症を抑える補助的な役割はありますが、原因の除去は歯科医院でしかできません
| ケアの種類 | できること | 限界 |
|---|---|---|
| 市販薬・歯磨き粉 | 歯茎の炎症を一時的に緩和、口臭の抑制、歯垢の付着予防 | 歯周ポケット内の歯石・バイオフィルムの除去、溶けた骨の再生 |
| 歯科医院での治療 | 専門器具による歯石・バイオフィルムの徹底除去、歯周外科手術、歯周組織再生療法 | セルフケアの代行、生活習慣の根本的な改善 |
市販のケア用品は日々のケアの補助として有効ですが、根本的な治療のためには必ず歯科医師による専門的な処置が必要です。
再発防止に繋がる毎日の正しい歯磨き
歯槽膿漏の再発防止において、毎日の歯磨きが基本となることは言うまでもありません。
しかし大切なのは、ただ磨くのではなく「磨き残しなく磨けているか」という点です。
「磨いている」と「磨けている」の間には、大きな差が存在します。
歯周病の再発を防ぐためには、歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先を45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かす「バス法」という磨き方が推奨されます。
力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、鉛筆を持つくらいの優しい力で磨くことが大切です。
なおみ毎日ちゃんと磨いているつもりなのに、どうして再発してしまうのですか?
青木院長歯ブラシだけでは全体の約60%しか汚れが落ちないため、補助用具の併用が必須です
| ケアのポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 歯ブラシの選び方 | ヘッドが小さく、毛先が細いもの |
| 磨き方(バス法) | 歯と歯茎の境目に45度で当て、優しく小刻みに動かす |
| 歯磨きの時間 | 1本あたり10秒以上、全体で3分程度が目安 |
| デンタルフロス | 歯と歯の間の側面の歯垢除去 |
| 歯間ブラシ | 歯と歯の間の隙間が大きい場所の清掃 |
ご自身の磨き方の癖を把握し、より効果的なケアを行うためにも、一度歯科医院で専門的なブラッシング指導を受けることをお勧めします。
治療後の状態を維持する定期検診の重要性
治療で改善した歯茎の状態を長期的に維持するためには、定期検診が欠かせません。
治療のゴールは「治すこと」ですが、本当のゴールは健康な状態を「維持し続けること」にあります。
歯周病が安定した方でも、3ヶ月から半年に1回の定期検診が推奨されます。
これは、歯周病菌が再び増殖して歯石が形成されるのに約3ヶ月かかるためです。
自覚症状がなくても、プロの目でチェックし、歯石やバイオフィルムを定期的に除去することが再発防止に繋がります。
なおみ治療が終わったのに、また歯医者に通わないといけないのですか?
青木院長はい、治療後のメンテナンスこそが、歯を生涯守るための最も重要なステップになります
| 検診項目 | 内容 |
|---|---|
| 歯周ポケット測定 | 歯茎の状態を数値で確認 |
| 歯の動揺度チェック | 歯を支える骨の状態を確認 |
| 噛み合わせの確認 | 特定の歯に負担がかかっていないかチェック |
| PMTC | 専門家による機械的歯面清掃 |
| ブラッシング指導 | セルフケアの状況を確認し、改善点を指導 |
定期検診は、万が一再発の兆候が見られても、ごく初期の段階で対応できるという大きな安心材料になります。
安心して治療を任せられる歯科医院選びのポイント
歯槽膿漏の治療は、一度で終わるものではなく、治療後のメンテナンスまで含めると長い付き合いになります。
そのため、技術や設備だけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、真摯にコミュニケーションを取ってくれる歯科医院を選ぶことが何よりも大切です。
歯科医院を選ぶ際は、ウェブサイトなどで日本歯周病学会認定医・専門医が在籍しているかを確認するのも一つの方法です。
これは、歯周病治療に関する専門的な知識と技術を持つと学会に認められた歯科医師の証であり、質の高い治療を受けられる目安となります。
なおみたくさんの歯医者さんの中から、どうやって自分に合うところを見つければいいですか?
青木院長まずはカウンセリングを受けてみて、医師やスタッフとの相性を確かめるのが一番です
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| コミュニケーション | 悩みや希望を丁寧に聞いてくれるか |
| 説明の分かりやすさ | 治療計画や費用を、専門用語を使わずに明確に説明してくれるか |
| 専門性 | 歯周病認定医や専門医が在籍しているか |
| 衛生管理 | 院内の清掃や器具の滅菌が徹底されているか |
| 継続性 | 治療後のメンテナンスにも力を入れているか |
いくつかの歯科医院で相談してみて、あなたが心から納得し、信頼して治療を任せられると感じる歯科医師を見つけることが、後悔のない治療への近道です。
よくある質問(FAQ)
- 歯周病の治療中に痛みはありますか?
-
治療中は麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
歯石除去などで多少しみることはありますが、お声がけしながら慎重に進めますので安心してください。
治療後に違和感や痛みが出た場合のために、痛み止めをお渡しすることも可能です。
- 歯周病の治療で、必ず歯茎からの出血や腫れは止まりますか?
-
適切な治療とご自宅での正しいケアを継続することで、歯茎からの出血や腫れといった炎症は改善します。
歯周病の根本的な原因である歯周ポケット内の細菌や歯石を徹底的に取り除くことが、症状改善の鍵となります。
- 歯石除去は一度の通院で終わるのでしょうか?
-
歯石の量や付着している場所によって異なります。
歯の表面に見える範囲の歯石だけであれば1〜2回で終わることもあります。
しかし、歯茎の奥深く、歯の根に硬く付着している場合は、数回に分けて丁寧に除去していく必要があります。
- 治療すれば、口臭は完全になくなりますか?
-
歯周病が原因で発生していた口臭は、治療によって大幅に改善することがほとんどです。
歯周ポケット内の膿や細菌が作り出すガスが主な原因であるため、クリーニングによって原因が取り除かれます。
それでも口臭が気になる場合は、別の原因も考えられます。
- 歯周病は自然治癒しないと聞きましたが、なぜですか?
-
歯周病の原因は、歯の表面に付着した歯石という硬い細菌の塊だからです。
この歯石は、毎日の歯磨きで取り除くことはできず、歯科医院にある専門の器具でなければ除去できません。
原因が残っている限り、自然治癒することはないのです。
- 重度の歯周病でも抜歯を避けられる可能性はありますか?
-
はい、可能性はあります。
歯を支える骨が大きく失われていても、歯周組織再生療法などの外科的な手術によって骨を再生させ、歯を残せる場合があります。
ただし、歯の状態によっては、抜歯が最善の選択となるケースもあります。
- 歯槽膿漏の治療はどの歯科医院で受けるべき?専門医は必要?
-
歯周病の治療に力を入れている歯科医院を選ぶことが大切です。
日本歯周病学会の認定医や専門医は、より高度な知識と技術を持つため、歯科医院を選ぶ上での一つの良い目安になります。
何よりも、あなたの状態や不安を丁寧に聞き、治療方針を分かりやすく説明してくれる歯科医を見つけましょう。
- 保険適用の治療と自費治療では、どちらが良いのですか?
-
まずは保険適用で行える歯周基本治療で、徹底的に原因菌を取り除き炎症を抑えることが治療の土台となります。
自費治療は、痛みを抑えたり、治りを早めたりする治療法という位置づけです。
それぞれのメリットを理解し、あなたの希望やお口の状態に合わせて歯科医と相談して決めるのが良いでしょう。
まとめ
歯槽膿漏の治療は、ご自身の進行度に合わせた計画的なステップを踏むことが大切です。
最も重要なのは、歯周病の原因となる細菌を専門的な処置で徹底的に取り除くことであり、この記事では初期段階から重度の場合まで、具体的な治療法や費用について解説しました。
- 進行度に合わせた治療計画の立案
- 原因となる歯石やプラークの徹底的な除去
- 基本治療から必要に応じた外科治療への段階的な進行
- 再発を防ぐための定期的なメンテナンスの継続
歯のぐらつきや出血など気になる症状があれば、手遅れだと諦めずに、まずは専門家である歯科医師に相談することから始めましょう。
