何もしてないのに歯茎から血が出る7つの原因|すぐに試せる対処法と歯医者に行くべき症状

歯磨きをしていないのに歯茎から血が出るのは、お口の中だけでなく、体が発している見過ごしてはいけないサインです。
特に、何もしていない時の出血は、歯茎の炎症がかなり進んでいる可能性を示しています。
この記事では、歯茎から突然出血する7つの原因を詳しく解説します。
さらに、ご自身ですぐに試せる対処法から、歯医者で行う専門的な治療までをわかりやすく紹介します。
なおみ歯茎からの出血は、お口だけの問題ではないのでしょうか?
青木院長はい、歯周病菌が血管から全身に巡り、さまざまな病気に影響することがあります。
- 何もしていないのに歯茎から血が出る7つの原因
- 放置が危険な歯周病と全身疾患との関係
- 自宅でできる応急処置と正しいケアの方法
- すぐに歯科医院へ行くべき危険な症状のサイン
突然の出血は歯茎からのSOSサイン

この見出しのポイント
何もしていないのに歯茎から血が出るのは、お口の中だけでなく、体全体が発している見過ごしてはいけないサインです。
特に、歯磨きをしていない時に出血するのは、歯茎の炎症がかなり進んでいる可能性を示しています。
このサインを見逃さず、原因を正しく理解して適切な対処をすることが、ご自身の歯と健康を守る第一歩となります。
これから、なぜ出血を放置してはいけないのか、出血のメカニズム、そしてご自身で確認すべきことについて、順を追って解説していきます。
放置が危険な理由-歯周病と全身の健康
歯茎からの出血を放置する最も大きな危険は、歯を失う原因となる「歯周病」が進行することです。
歯周病は非常に身近な病気で、近年の調査では、成人の約5割に歯周病の所見(4mm以上の歯周ポケット)が見られるという報告もあります。進行すると歯を支える骨を溶かしてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
さらに、歯周病はお口だけの問題ではありません。
歯周病菌が歯茎の血管から体内に入り込み、全身を巡ることで糖尿病を悪化させたり、心筋梗塞や脳梗塞、誤嚥性肺炎のリスクを高めたりすることが近年の研究で明らかになっています。
お口の健康は、体全体の健康と密接につながっています。
そのため、歯茎からの出血は、将来の深刻な病気を防ぐための重要な警告と捉える必要があります。
なぜ何もしていないのに血が出るのか
何もしていない時に出血する主な原因は、歯と歯茎の境目に溜まったプラーク(歯垢)に含まれる細菌によって、歯茎が炎症を起こしているためです。
この状態を「歯肉炎」と呼びます。
健康な歯茎は引き締まったピンク色をしていますが、歯肉炎になると赤く腫れ、血管がもろくなります。
このため、食事や会話といった日常のわずかな刺激や、睡眠中の血圧の変化だけでも血管が破れて、突然出血することがあります。
歯磨きをしていないのに出血するのは、炎症がそれだけ強くなっている証拠なのです。
つまり、突然の出血は歯茎が「細菌に攻撃されて弱っています」と助けを求めているサインであり、決して自然に治まるのを待って良い症状ではありません。
不安を感じたらまず確認すること
突然の出血に、大変驚かれたことと思います。
慌てずに、まずは落ち着いてご自身の症状を客観的に確認することが大切です。
歯科医院へ行くべきか、少し様子を見ても良いのかを判断するために、出血以外の症状が併発していないかをチェックしましょう。
以下の項目に当てはまるものがないか、確認してみてください。
| 確認する項目 | 症状の例 |
|---|---|
| 出血の量と時間 | 少量がにじむ程度か、だらだらと続くか |
| 痛みや腫れ | 歯茎が赤く腫れている、触ると痛い |
| 歯の動揺 | 歯がグラグラする感じがあるか |
| 口臭 | 以前よりも口の臭いが気になるか |
| 全身の状態 | 鼻血やあざ、倦怠感、発熱はないか |
これらの項目に一つでも当てはまる場合は、自己判断で放置するのは危険です。
特に全身の状態に変化がある場合は、歯周病だけでなく他の病気の可能性も考えられるため、早急に専門家へ相談することをおすすめします。
何もしてないのに歯茎から血が出る7つの原因

歯茎からの突然の出血は、お口の中だけの問題とは限りません。
実は、体の内側で起きている変化や病気のサインであるケースも少なくないのです。
ご自身の状態を正しく把握するために、考えられる7つの原因を見ていきましょう。
| 原因 | 主な特徴 | 関連する状態 |
|---|---|---|
| 歯周病・歯肉炎 | 最も一般的な原因で、細菌による炎症 | 歯磨き不足、プラークの蓄積 |
| 全身の病気 | 糖尿病や血液の病気による体の変化 | 免疫力の低下、出血傾向 |
| ホルモンバランスの変化 | 女性ホルモンの影響で歯茎が敏感になる | 妊娠、更年期、思春期 |
| 免疫力の低下 | ストレスや寝不足で体の抵抗力が弱まる | 疲労の蓄積、生活習慣の乱れ |
| 薬の副作用 | 服用している薬の影響で出血しやすくなる | 血液をサラサラにする薬など |
| 食生活の乱れ | 特定のビタミン不足で歯茎が弱くなる | 偏った食事、栄養不足 |
| 物理的な刺激 | 間違ったケアや合わない被せ物が原因 | 強すぎるブラッシング、不適合な補綴物 |
これらの原因は一つだけでなく、複数が絡み合っていることもあります。
それぞれの原因を詳しく理解することが、適切な対処への第一歩です。
原因1-最も多い歯周病や歯肉炎
歯周病とは、歯を支える骨や歯茎が細菌によって破壊されていく病気のことで、歯肉炎はその初期段階を指します。
歯茎からの出血は、歯周病が原因であるケースがほとんどを占めます。
何もしていないのに血が出る場合、歯と歯茎の間に蓄積したプラーク(歯垢)によって、歯茎の炎症がかなり進行していると考えられます。
炎症を起こした歯茎の血管はもろくなっており、唾液を吸うといったわずかな圧力の変化だけでも出血することがあるのです。
なおみ歯磨きは毎日しているつもりなのに、どうして歯周病になるのでしょうか?
青木院長実は歯ブラシだけでは約60%の汚れしか落とせず、磨き残したプラークが原因になることが多いですよ
歯周病は自覚症状が少ないまま進行するため、出血は歯茎が発している重要なSOSサインです。
放置すると歯を失うことにつながります。
原因2-糖尿病や白血病など全身の病気
歯茎からの出血は、お口の中だけでなく全身の健康状態を反映する鏡のような役割をすることがあります。
思いがけない病気が隠れている可能性も念頭におきましょう。
例えば、糖尿病になると免疫力が低下し、細菌への抵抗力が弱まるため歯周病が悪化しやすくなります。
逆に、歯周病が糖尿病のコントロールを難しくするという相互関係も明らかになっています。
また、白血病や血小板減少症といった血液の病気では、血が止まりにくくなるため歯茎からの出血が初期症状として現れることがあります。
| 病名 | 歯茎の出血との関連 |
|---|---|
| 糖尿病 | 免疫力低下による歯周病の悪化と治癒の遅れ |
| 白血病 | 正常な血液細胞が作れなくなり出血しやすくなる |
| 血小板減少症 | 血を止める役割の血小板が減少し出血しやすくなる |
| 肝臓の病気 | 血液を固める成分が作られにくくなり出血傾向になる |
歯茎からの出血以外に、鼻血がよく出る、あざができやすい、全身がだるいといった症状がある場合は、歯科だけでなく内科への相談も必要です。
原因3-妊娠中や更年期におけるホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化は、特に女性の歯茎の状態に大きく影響を与えます。
特定の種類の女性ホルモンを栄養源として増殖する歯周病菌が存在するためです。
妊娠期には「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる症状が出やすく、普段よりも歯茎が赤く腫れて出血しやすくなります。
同様に、思春期や更年期、月経前にもホルモンの変動によって一時的に歯茎の状態がデリケートになることが少なくありません。
なおみ最近、更年期のせいか体の不調を感じることがあるのですが、歯茎にも影響があるのですね
青木院長はい、体調の変化とお口のケアは密接に関わっています。この時期は特に丁寧なセルフケアが大切になります
ホルモンの影響は一時的なことが多いですが、その期間にお口のケアを怠ると本格的な歯周病へと進行するリスクが高まります。
原因4-ストレスや睡眠不足による免疫力の低下
免疫力とは、体を細菌やウイルスといった外敵から守る防御システムのことです。
この力が弱まると、普段は抑えられているお口の中の細菌が活発になり、歯茎に悪影響を及ぼします。
強いストレスや慢性的な睡眠不足、疲労の蓄積は、体の抵抗力を著しく低下させます。
仕事が忙しい時期や生活環境が変わった後に、急に歯茎が腫れて出血したという経験がある方もいるのではないでしょうか。
これは、免疫力が低下して歯茎の炎症が一気に悪化したサインです。
| 要因 | 歯茎への影響 |
|---|---|
| ストレス | 唾液の分泌量減少・免疫細胞の働き低下 |
| 睡眠不足 | 体の修復機能が追いつかず炎症が悪化 |
| 疲労 | 全身の抵抗力が低下し細菌に感染しやすくなる |
| 喫煙 | 血行不良と免疫機能の低下による歯周病の悪化 |
歯のケアと同時に、リラックスできる時間を確保し、十分な休息を取ることが歯茎の健康を守る上でもとても重要です。
原因5-服用している薬の副作用
病気の治療のために服用している薬が、副作用として歯茎からの出血を引き起こすことがあります。
お薬手帳を確認し、ご自身が服用している薬について把握しておくことが大切です。
特に、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」や「抗血小板薬」(ワーファリン、バイアスピリンなど)を服用している方は、歯磨きなどのわずかな刺激でも血が出やすくなったり、止まりにくくなったりする傾向があります。
他にも、高血圧の薬やてんかんの薬、免疫抑制薬などの一部には、歯茎が腫れる副作用が報告されています。
| 薬の種類 | 主な作用と歯茎への影響 |
|---|---|
| 抗凝固薬・抗血小板薬 | 血液をサラサラにし、出血しやすくなる |
| 降圧薬(一部) | 副作用で歯茎が腫れ、炎症を起こしやすくなる |
| 抗てんかん薬 | 歯肉増殖(歯茎が盛り上がる)の副作用の可能性 |
| 免疫抑制薬 | 免疫力が低下し、歯周病菌に感染しやすくなる |
ご自身の判断で薬の服用を中止するのは大変危険です。
気になる症状がある場合は、必ず処方した医師やかかりつけの歯科医師に相談してください。
原因6-ビタミン不足など食生活の乱れ
食生活の乱れは、歯茎の健康を体の内側から損なう原因となります。
丈夫な歯茎を作るためには、バランスの取れた栄養が欠かせません。
特に、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンCは、歯茎の組織であるコラーゲンの生成に不可欠です。
ビタミンCが不足すると歯茎の血管がもろくなり、出血しやすくなります。
また、血液を固める働きに関わるビタミンKが不足した場合も、血が止まりにくくなることがあります。
| 栄養素 | 歯茎への役割 | 多く含まれる食品 |
|---|---|---|
| ビタミンC | 歯茎の組織(コラーゲン)を強化する | パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ |
| ビタミンK | 出血時に血を固める働きを助ける | 納豆、ほうれん草、小松菜 |
| ビタミンB群 | 粘膜の健康を維持し、口内炎を予防する | 豚肉、レバー、うなぎ |
| 鉄分 | 不足すると貧血になり、歯茎が白っぽくなる | 赤身肉、あさり、ひじき |
バランスの取れた食事は、お口だけでなく全身の健康の基本です。
日々の食生活を見直すことも、出血しにくい健康な歯茎への近道になります。
原因7-合わない被せ物や間違ったブラッシング
これまでお話しした原因のほかに、物理的な刺激が歯茎からの出血の直接的な引き金になることも少なくありません。
良かれと思って行っているケアが、かえって歯茎を傷つけている可能性があります。
例えば、サイズが合っていない被せ物や詰め物の縁に段差があると、そこにプラークがたまりやすくなり、慢性的な炎症を引き起こします。
また、硬すぎる歯ブラシで力を込めてゴシゴシ磨く「オーバーブラッシング(強すぎるブラッシング)」は、歯茎を傷つけ出血させる直接の原因です。
なおみ汚れをしっかり落とそうと、つい力いっぱい磨いてしまっていました…
青木院長歯磨きは力ではなく、毛先をきちんと当てることが大切です。鉛筆を持つくらいの軽い力で十分ですよ
毎日のケアが逆効果になっていないかを見直し、定期的に歯科医院で被せ物の状態などをチェックしてもらうことが重要になります。
自宅でできる応急処置とセルフケア

歯茎から血が出ると驚いてしまいますが、ご自宅でできることがあります。
根本的な解決には歯科医院での治療が必要ですが、日々の正しいセルフケアが症状の改善と再発予防の鍵を握るのです。
ここでは、出血時の応急処置と、日頃から取り組むべきケアの方法を解説します。
まずは清潔なガーゼによる圧迫止血
歯茎からの出血に気づいたら、慌てずに応急処置を行いましょう。
清潔なガーゼやティッシュで出血している部分を5分ほど優しく押さえて圧迫します。
唾液に血が混じると量が多く見えがちですが、ほとんどの場合、数分間の圧迫で出血は収まります。
なおみ血が止まらない時はどうしたら良いですか?
青木院長30分以上出血が続く場合や血の塊が出る場合は、すぐに歯科医院を受診してください
この圧迫止血はあくまで一時的な対処法です。
出血が止まっても、原因である歯茎の炎症が治ったわけではないため、根本的な解決のためにはセルフケアの見直しと歯科医院の受診が必要です。
出血を恐れない正しい歯磨きの方法
出血を恐れて歯磨きをためらうのは逆効果です。
出血の原因は歯と歯茎の境目に溜まったプラーク(歯垢)であり、これを取り除くことが最も重要になります。
毛先がやわらかめの歯ブラシを選び、歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、力を入れずに小刻みに優しく動かしましょう。
| ポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 歯ブラシの選び方 | 毛先が細く、ヘッドが小さい「やわらかめ」のタイプ |
| 当てる角度 | 歯と歯茎の境目に45度 |
| 動かし方 | 力を入れず、小刻みに優しく振動させる |
| 時間の目安 | 1本1本丁寧に磨き、全体で3分以上 |
正しい歯磨きを始めた当初は一時的に出血が増えることもあります。
しかし、2週間ほど丁寧に続けることでプラークが減り、歯茎の炎症が改善して出血は自然と収まっていきます。
歯ブラシで届かない汚れを除くデンタルフロスの活用
歯ブラシだけのお手入れでは、口全体の汚れの約60%しか落とせません。
残りの汚れを除去し、歯周病を予防するために、デンタルフロスの使用が不可欠です。
糸を指に巻きつけて使う「糸巻きタイプ」と、持ち手がついた「ホルダータイプ」があり、初心者はホルダータイプから始めると簡単に使えます。
なおみフロスを使うと余計に出血しそうで怖いです…
青木院長最初は出血することがありますが、汚れが取れている証拠です。優しく続ければ炎症が治まり出血しなくなります
毎日1回、特に汚れが溜まりやすい就寝前にデンタルフロスを使う習慣をつけることで、歯周病の予防効果は大きく向上します。
出血予防につながる生活習慣の見直し
歯茎の健康は、お口の中のケアだけでなく、体全体の健康状態と深く関わっています。
生活習慣を見直すことも、出血しにくい丈夫な歯茎を作るために重要です。
血管や歯茎のコラーゲン線維を作るために不可欠なビタミンCや、出血を止める働きに関わるビタミンKを食事から意識的に摂取しましょう。
| 項目 | 具体的な取り組み |
|---|---|
| 食事 | バランスの良い食事。ピーマン、ブロッコリー、キウイ(ビタミンC)、納豆、ほうれん草(ビタミンK)などを摂取 |
| 睡眠 | 免疫力を維持するため、1日6時間以上の質の良い睡眠 |
| ストレス管理 | 適度な運動や趣味の時間でストレスを発散 |
| 禁煙 | 喫煙は歯周病を悪化させる最大の要因の一つ。禁煙を検討 |
規則正しい生活は、お口だけでなく全身の免疫力を高めます。
日々の小さな心がけが、歯茎からの出血予防につながるのです。
歯医者に行くべき症状と専門的な治療

ご自宅でのセルフケアは歯茎の健康を守る上でとても大切ですが、それだけでは改善が難しいケースもあります。
特定の症状が見られる場合は、自己判断せずに専門家の診断を受けることが最も重要です。
歯科医院では、出血の原因を正確に突き止め、一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てていきます。
放置すれば歯を失うリスクが高まりますが、早期に適切な治療を開始すれば、健康な歯茎を取り戻すことは十分に可能です。
受診の目安となる危険なサイン
もし、ご自身の症状が以下のリストに1つでも当てはまる場合は、すぐに歯科医院へ相談してください。
これらは歯周病が進行している、あるいは他の病気が隠れている可能性を示す体からの警告です。
| 危険なサインの例 |
|---|
| 出血が30分以上など、なかなか止まらない |
| 頻繁に血の塊が出る |
| 歯茎がパンパンに腫れて強い痛みがある |
| 歯がグラグラと動く感じがする |
| 歯茎から膿が出ている、または口臭が急に強くなった |
| 歯茎の出血以外に、鼻血や青あざができやすい |
| 全身に倦怠感や発熱などの症状がある |
なおみこれって、全部当てはまらないとダメですか?
青木院長いえ、一つでも当てはまれば受診をおすすめします
これらのサインは、体からのSOSです。
見過ごさずに、できるだけ早く専門家の診察を受けましょう。
歯茎からの出血で受診すべきは何科か
歯茎からの出血でまず相談すべき診療科は「歯科」または「歯周病科」です。
歯科医師が口の中の状態を直接診察し、歯周病が原因なのか、それとも他に原因があるのかを判断します。
なおみ歯茎の出血以外にも気になる症状がある場合はどうすればいいですか?
青木院長その場合は、まず歯科で相談し、必要に応じて内科など他の診療科を紹介してもらうのがスムーズです
例えば、全身の倦怠感やあざができやすいといった症状が伴う場合は、血液の病気も考えられます。
その際は、歯科での診察と並行して内科や血液内科の受診が必要になることもあります。
まずはかかりつけの歯科医に、全身の状態も正直に伝えることが大切です。
迷ったら、まずはお口の専門家である歯科医師に相談するのが、原因究明への一番の近道となります。
歯科医院で行う主な検査と診断
歯科医院では、お口の中の状態を詳しく調べるために、いくつかの基本的な検査を行います。
これらの検査は、出血の原因を正確に特定し、適切な治療計画を立てるために不可欠です。
| 検査項目 | 検査内容 |
|---|---|
| 問診 | 症状、生活習慣、全身疾患の有無などを確認 |
| 視診 | 歯茎の色、腫れ、歯石の付着状態などを目で見て確認 |
| 歯周ポケット検査 | 歯と歯茎の間の溝の深さを専用の器具で測定 |
| レントゲン検査 | 歯を支える骨が溶けていないかを画像で確認 |
| 染め出し検査 | プラーク(歯垢)の付着箇所を染色して可視化 |
これらの検査結果を総合的に判断して、歯周病の進行度などを診断します。
例えば、歯周ポケットの深さが4mm以上ある場合は、歯周病が始まっているサインです。
正確な診断があってこそ、効果的な治療が可能になります。
歯周病の基本的な治療-歯石除去とクリーニング
スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、歯の表面や歯周ポケット内に付着したプラークや歯石を取り除く治療のことです。
ご自身の歯磨きでは取り除けない硬くなった歯石は、歯周病菌の温床となります。
この歯石をプロの手で徹底的に除去することが、歯周病治療の基本であり、最も重要なステップになります。
なおみ治療はやっぱり痛いでしょうか…?
青木院長超音波の器具を使うため少し振動や水が出ますが、痛みを最小限に抑えるよう配慮しますのでご安心ください
歯石を除去することで歯茎の炎症が改善し、出血や腫れが治まっていきます。
治療後は歯の表面がツルツルになり、汚れが付きにくい状態になります。
歯科医院での専門的なクリーニングと、ご自宅での正しいセルフケアを両立させることで、健康な歯茎を維持できます。
よくある質問(FAQ)
- ストレスや睡眠不足だけで歯茎から血が出ることはありますか?
-
はい、あります。
強いストレスや慢性的な睡眠不足は体の免疫力を低下させる大きな原因です。
免疫力が弱まると、お口の中にいる歯周病菌が活発になり、歯肉炎を引き起こしたり悪化させたりします。
その結果、歯茎が腫れて、何もしていないのに突然出血することがあるのです。
- 出血はしますが痛みがありません。それでも歯医者に行くべきでしょうか?
-
はい、痛みがなくても必ず歯医者を受診してください。
歯周病は初期段階ではほとんど痛みを伴わないことが多く、「静かなる病気」とも呼ばれています。
出血は、歯茎が炎症を起こしている明確なサインです。
痛みがなくても放置すると歯を支える骨が溶けてしまうため、早期の治療がとても大切になります。
- 歯茎から血の塊が出ることがあります。これは危険なサインですか?
-
はい、注意が必要なサインです。
血の塊が出るのは、出血量が多いことや、歯茎の炎症がかなり強く起きていることを示しています。
歯周病が進行している可能性が考えられますので、自己判断で放置せず、できるだけ早く歯科医院で診てもらう必要があります。
- 血と一緒に膿が出て、臭いが気になります。原因は何ですか?
-
歯周病がかなり進行している状態が原因と考えられます。
膿は、歯周病菌と体の免疫細胞が戦った後の残骸です。
これが歯茎から出るということは、歯を支える組織の破壊が進んでいる証拠であり、強い臭いを伴います。
この状態を放置すると歯が抜けてしまう危険性が高いため、すぐに治療を開始しましょう。
- 妊娠中は歯茎から血が出やすいと聞きましたが、本当ですか?
-
本当です。
妊娠中は女性ホルモンのバランスが大きく変化します。
特定の歯周病菌はこの女性ホルモンを栄養にして増殖するため、お口の環境が悪化しやすくなります。
また、血流が増えることで歯茎が敏感になり、わずかな刺激でも出血しやすい「妊娠性歯肉炎」という状態になるのです。
- 出血を止める効果がある市販薬はありますか?
-
歯肉炎の炎症を抑える成分が含まれた歯磨き粉や塗り薬などの市販薬はあります。
これらを使用することで一時的に症状が和らぐことはありますが、根本的な原因であるプラークや歯石を取り除くことはできません。
出血を根本的に止めるためには、歯科医院での専門的な治療が不可欠です。
- 歯茎からの出血で受診する場合、何科に行けばよいですか?
-
まずは「歯科」を受診してください。
歯茎からの出血のほとんどは歯肉炎や歯周病が原因であるため、お口の専門家である歯科医師が診断します。
もし診察の結果、糖尿病や血液の病気など全身疾患の疑いがある場合は、歯科から内科など適切な診療科を紹介しますのでご安心ください。
- 歯茎からの出血を予防するために、歯磨き以外でできることは何ですか?
-
はい、効果的な予防法はあります。
正しいブラッシングに加えて、生活習慣を見直すことが重要です。
特に、歯茎の組織を強くするビタミンCを多く含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。
また、十分な睡眠で免疫力を保つことや、血行を悪化させ歯周病を進行させる原因となる喫煙を控えることも大切です。
まとめ
何もしていないのに歯茎から血が出るのは、お口の中だけの問題ではない大切なサインです。
そのほとんどは歯周病が原因ですが、放置すると歯を失うだけでなく、糖尿病など全身の病気に影響を及ぼす危険性があるのです。
- 出血の主な原因は歯周病・歯肉炎
- 全身の病気やホルモンバランスの変化が関わっている可能性もある
- 正しいブラッシングとデンタルフロスによるセルフケアが重要
- 止まらない出血や強い腫れはすぐに歯科医院へ相談
まずはご自身の症状と照らし合わせ、この記事で紹介したセルフケアを始めてみてください。
もし危険なサインに当てはまったり、不安が解消されなかったりする場合は、自己判断せずに専門家へ相談することが、ご自身の歯と体を守るための最も確実な一歩になります。
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