歯周病で歯が抜ける前兆かも|50代から始めるセルフチェックと3つの対策

歯周病で歯が抜ける前兆かも|50代から始めるセルフチェックと3つの対策

歯磨きのたびに出血する、歯茎が腫れぼったい、少し歯がグラグラする気がする。

これらは、歯周病が進行していることを示す体からの危険信号です。

放置すれば大切な歯を失い、さらには全身の健康にまで影響を及ぼしますが、これらのサインに気づけた今なら、まだできることがあります。

この記事では、歯周病で歯が抜ける前に現れるサインや進行レベル別の症状、そして手遅れになる前に今日からできる具体的な対策を専門家の視点から詳しく解説します。

なおみ

歯茎が腫れるだけだと思っていましたが、骨が溶けるなんて怖すぎます…

青木院長

はい、だからこそ初期のサインを見逃さず、骨が溶ける前に対処することが何より大切なのです

この記事を監修した人

歯科医師/院長 青木 英明(あおき ひであき)
資格・所属団体 日本抗加齢医学会 専門医、日本矯正歯科学会、日本顎咬合学会、茨城インプラント研究会、日本健康医療学会、日本歯科人間ドック学会

目次

歯が抜ける前兆?歯周病を疑うべきサインと放置するリスク

歯周病は、ただお口の中だけの問題ではありません。 放置すれば大切な歯を失い、さらには全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。

しかし、これらのサインに気づけた今なら、まだできることがあります。

歯周病は歯を支える骨が溶ける病気

歯周病とは、歯の表面についた歯垢(プラーク)に含まれる細菌が原因で引き起こされる、歯の周りの組織の病気です。

初期段階では歯茎に炎症が起こるだけですが、進行すると歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまうという、恐ろしい特徴を持っています。

歯と歯茎のすき間である歯周ポケットが深くなり、その中で歯周病菌が増殖することで、じわじわと骨が破壊されていくのです。

家の土台が脆くなるのと同じで、支えを失った歯は次第にグラグラになり、最終的には抜けてしまいます。

なおみ

歯周病で骨が溶けるなんて怖い…

青木院長

気づいたらすぐに対処をしましょう

歯が抜けるという深刻な事態は、この歯槽骨が溶けることによって引き起こされます。

自覚症状が少ない「静かな病気」の恐怖

歯周病が「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」と呼ばれるのは、初期から中期にかけて痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行するからです。

「たまに出血するけど、痛みはないから大丈夫」と軽く考えてしまう方が少なくありません。

しかし、その「痛くない」状態こそが歯周病の怖いところです。

厚生労働省の平成28年歯科疾患実態調査によると、35~44歳で約76%の人が歯肉に何らかの所見(歯肉からの出血または歯石の沈着)を有するとされていますが、多くの方がその事実に気づいていません。

なおみ

確かに、痛みがないとつい後回しにしてしまいます…

青木院長

そのお気持ちはよく分かります。だからこそ、症状がなくても定期的に専門家の目でチェックすることが重要になります

はっきりとした痛みや歯のグラつきを感じる頃には、すでに病状がかなり悪化しているケースが多いのです。

歯を失う原因の第一位が歯周病

多くの方が「歯を失う原因は虫歯」だと思いがちですが、実は違います。

公益財団法人8020推進財団が2018年に発表した調査によると、日本人が永久歯を失う原因の第一位は歯周病でした。

抜歯に至った原因の約4割を占めており、虫歯を上回る結果です。

この事実は、いかに多くの人が気づかないうちに歯周病を進行させ、歯を失っているかを物語っています。

このデータからも、大切な歯を一生涯守るためには、虫歯だけでなく歯周病の管理がいかに重要であるかが分かります。

40代・50代から急増する歯の喪失リスク

特に注意が必要なのが、40代・50代です。

この年代は、歯周病による歯の喪失リスクが急激に高まる人生の転換期と言えます。

厚生労働省の調査では、年齢が上がるにつれて重度の歯周病にかかる人の割合は増加し、45歳を過ぎたあたりからその傾向が顕著になります。

長年の生活習慣の蓄積や、加齢による免疫力の変化などが影響し、これまで問題なかったお口にも変化が現れやすくなるのです。

なおみ

ちょうど私の年代ですね。人事ではないと感じます。

青木院長

おっしゃる通りです。だからこそ、この年代からの適切なケアが、将来残せる歯の数を大きく左右します

今、ご自身の歯と向き合い、正しいケアを始めることが、この先の10年、20年の豊かな食生活と健康を守るための鍵となります。

放置が招く全身の健康への悪影響

歯周病の問題は、お口の中だけにとどまりません。

歯周病菌や、歯茎の炎症によって生み出される物質が血管を通って全身を巡ることで、糖尿病や心臓病、脳梗塞といった全身の病気を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があります。

お口は、体の健康の入り口です。

歯周病を放置することは、これらの病気のリスクを高めてしまうことにも繋がります。

お口のケアを徹底することは、単に歯を守るだけでなく、ご自身の体全体の健康を守るための大切な習慣なのです。

50代からのセルフチェック|歯が抜ける前に現れる8つの前兆

虫眼鏡で自分の歯茎の状態を見て驚いている女性

50代を過ぎると、お口の中にはさまざまな変化が現れます。

これからご紹介する8つのサインは、歯周病が静かに進行している可能性を示す体からの重要なメッセージです。

歯を失う原因の第一位は歯周病であり、これらの前兆を見逃さないことが、あなたの大切な歯を守るための第一歩となります。

これらのサインは一つだけで現れることもあれば、複数が同時に現れることもあります。

一つでも当てはまる項目があれば、ご自身の歯と歯茎の状態に真剣に向き合うタイミングです。

前兆1 歯磨き時の歯茎からの出血

歯磨きのたびに歯ブラシに血がにじむのは、歯周病の最もわかりやすい初期サインです。

これは歯茎が「助けて!」と発している最初の悲鳴だと考えてください。

歯周病菌が出す毒素によって歯茎の血管がもろくなり、歯ブラシの毛先が軽く触れた程度の刺激でも出血しやすくなります

痛みがないからと放置すると、炎症は静かに進行してしまいます。

なおみ

血が出るのが怖くて、つい歯磨きをためらってしまいます…

青木院長

お気持ちはよくわかります。ですが、出血を恐れて磨かないことが、実は一番症状を悪化させてしまうのです

出血は「そこに汚れが溜まっていますよ」という体からの合図です。

怖がらずに、柔らかめの歯ブラシで優しく丁寧に磨くことが改善への第一歩になります。

前兆2 赤く腫れぼったい歯茎

健康な歯茎は、引き締まっていてきれいな薄いピンク色をしています。

鏡で見て、ご自身の歯茎が赤みを帯びていたり、ブヨブヨと腫れぼったく感じたりするなら、それは「歯肉炎」という歯周病の初期段階にあるサインです。

歯と歯茎の境目に歯垢(プラーク)が溜まると、体は細菌を追い出そうと防御反応を起こします。

その結果、歯茎に血液が多く集まり、赤みや腫れとなって現れるのです

特に歯と歯の間の歯茎が、丸みを帯びたおむすびのような形になっていたら注意が必要です。

この段階であれば、歯科医院での専門的なクリーニングとご自宅での丁寧なケアによって、健康なピンク色の引き締まった歯茎を取り戻せます。

前兆3 朝起きたときの口のネバつきや気になる口臭

就寝中は唾液の分泌量が少なくなるため、お口の中は細菌が最も繁殖しやすい環境になります。

歯周病が進行していると、朝起きたときの特有のネバつきや、卵が腐ったような不快な口臭が強まるのです。

歯周病菌は、歯周ポケットの中で血液や剥がれ落ちた細胞などをエサにして増殖します。

その際、「揮発性硫黄化合物」という強烈な臭いを放つガスを発生させます

これが、ご自身でも気になるほどの口臭の正体です。

なおみ

マスクをしていても自分の口臭が気になって、人と話すのが億劫になります…

青木院長

そのお悩みは、原因を取り除けば必ず改善します。歯周病治療は、つらい口臭のお悩みを解決することにも直結しますよ

マウスウォッシュで一時的にごまかすのではなく、口臭の根本原因である歯周病菌そのものを減らす治療に着手することが大切です。

前兆4 歯が長くなったような見た目(歯茎の退縮)

「最近、なんとなく歯が長くなった気がする」と感じたら、それは気のせいではありません。

歯周病によって歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、その上の歯茎がズルズルと下がってしまう「歯肉退縮」という危険なサインです。

歯周病の炎症が歯茎の奥深くにある歯槽骨にまで達すると、骨は少しずつ破壊されていきます。

歯槽骨が1mm溶けるごとに歯を支える力は弱まり、見た目にも歯が長くなったように見えるのです。

一度下がってしまった歯茎や、溶けてしまった骨は、残念ながら自然に元の状態へ戻ることはありません。

これ以上、歯の土台を失わないための治療が何よりも重要です。

前兆5 食べ物が詰まりやすくなった歯と歯の隙間

以前は気にならなかったのに、食事のたびにほうれん草のような繊維質のものが歯と歯の間に挟まるようになったら、これも歯周病が進行しているサインの一つです。

歯茎の退縮が進むと、本来は歯茎で覆われていた歯の根元部分に三角形の隙間ができます

この隙間に食べ物が詰まりやすくなると、そこからさらに汚れが溜まり、歯周病を悪化させるという悪循環に陥ってしまいます。

食べ物が頻繁に詰まるようになったら、歯間ブラシやデンタルフロスを使った専門的なケアが不可欠です。

しかし、まずは隙間ができてしまった原因である歯周病の進行を食い止めることが先決です。

前兆6 指で押したときの歯のグラグラ感

食事中や指で押したときに歯が少し動くのを感じたら、それは非常に危険な状態です。

歯がグラグラするのは、歯を支えている土台の骨(歯槽骨)が、半分近く溶かされてしまっている可能性を示しています。

健康な歯でもごくわずかに動きますが、歯周病が中等度以上に進行すると、前後左右に1mm以上も揺れるようになります

これは、家の柱を支える基礎がスカスカになり、建物全体が傾き始めているのと同じ状態です。

なおみ

食事中に歯が動く感じがして、硬いものが怖くて噛めなくなってきました…

青木院長

噛むたびに不安を感じるのは本当につらいですよね。これ以上の進行を止め、残っている大切な骨を守る治療をすぐに始めましょう

歯がグラつき始めると、噛む力によってさらに骨の破壊が加速します。

ほんの少しでも「動くかも?」と感じたら、迷わず歯科医師に相談してください。

前兆7 歯茎を押すと出てくる白や黄色の膿

歯茎を指でそっと押したときに、歯と歯茎の境目からドロッとした液体が出てくることがあります。

これは「膿(うみ)」であり、歯周ポケットの奥深くで感染が起こり、炎症がかなり悪化している証拠です。

膿の正体は、歯周病菌と戦って死んだ白血球の死骸です。

膿が出ているということは、体が見えないところで細菌と激しい戦争を繰り広げていることを意味します。

独特の嫌な臭いを伴い、強い口臭の原因にもなります。

膿が出ている状態は、体が発する最終警告です。

このサインを放置すると、歯を支える骨が急速に溶かされてしまう危険性が高まります。

一刻も早く歯科医院を受診する必要があります。

前兆8 冷たいものや熱いものが歯にしみる

虫歯ではないのに、冷たい水を飲んだり、歯磨きをしたりする際に歯が「キーン」としみるようになったら、それは歯周病が原因の知覚過敏かもしれません。

歯周病によって歯茎が下がると、本来は歯茎に守られている「象牙質」という部分が剥き出しになります

象牙質には神経につながる無数の細い管が通っているため、温度などの刺激が直接神経に伝わり、「しみる」という痛みを感じるのです。

知覚過敏用の歯磨き粉で症状が少し和らぐこともありますが、根本原因である歯茎の退縮を食い止めない限り、本当の解決にはなりません。

これも歯周病の進行を示す重要なサインとして捉えましょう。

【レベル別】歯周病の症状と治療法|手遅れになる前に行動を

歯周病を心配する歯医者と悲しむ歯たち

歯周病は進行レベルによって症状や治療法が全く異なります。

ご自身の状態がどの段階にあるのかを把握することが、大切な歯を守るための第一歩です。

どの段階であっても、決して「手遅れ」ということはありませんので、諦めずに適切なケアを始めましょう。

各レベルを正しく理解し、ご自身の状態と照らし合わせてみてください。

早めに行動することで、歯を失うリスクを大きく減らすことができます。

レベル1 歯肉炎|丁寧なセルフケアで健康な状態へ戻せる段階

歯肉炎とは、歯周病の最も初期の段階で、炎症が歯茎だけにとどまっている状態です。

幸いなことに、この段階では歯を支える骨(歯槽骨)はまだ破壊されていません。

主なサインは歯磨きの際の出血で、歯周ポケットの深さは健康な状態(1~2mm)から少し深くなり、3mm程度になることがあります。

痛みなどの自覚症状がほとんどないため、見過ごされがちです。

なおみ

たまに血が出るくらいだから、大丈夫だと思っていました…

青木院長

そのサインこそが、お身体が発する最初の警告です。この段階なら、丁寧なケアで十分健康な状態に戻せますよ

この歯肉炎の段階であれば、歯科医院での専門的なクリーニングと、日々の正しい歯磨きを実践することで、健康で引き締まった歯茎を取り戻すことが可能です。

レベル2 軽度歯周炎|歯周ポケットが深くなり始める段階

軽度歯周炎は、炎症が歯茎だけでなく、歯を支える骨である歯槽骨にまで広がり始めた状態を指します。

ご自身のケアだけでは改善が難しくなる分岐点です。

歯周ポケットは4〜5mm程度まで深くなり、歯ブラシの毛先が届かない場所に歯石が溜まり始めます。

歯茎が下がって歯が長くなったように見えたり、口臭が気になり始めたり、冷たいものがしみたりといった自覚症状が現れます。

なおみ

歯が長くなったように見えるのは、気のせいじゃなかったんですね…

青木院長

はい、歯茎が下がり始めているサインです。ここが、歯周病の進行を食い止めるための重要なタイミングになります

この段階では、ご自身の歯磨きだけでは歯周ポケットの奥深くにある歯石を取り除くことはできません。

歯科医院で専用の器具を使った歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)を受けることが不可欠です。

レベル3 中等度歯周炎|歯槽骨が溶け始め歯が動き出す段階

中等度歯周炎まで進行すると、歯槽骨の破壊がさらに進み、はっきりとした自覚症状として現れ始めます。

歯を指で押すと、少しグラグラと動くのを感じるようになります。

歯周ポケットは6mm以上の深さになり、歯槽骨が半分近くまで溶かされていることも少なくありません。

歯茎を押すと白や黄色の膿が出たり、硬いものが噛みにくくなったりと、食事にも影響が出始めます。

なおみ

指で押すと少し動く歯があって、本当に不安です…

青木院長

お気持ちお察しします。ですが、その歯を残せる可能性はまだ十分にあります。諦めずに専門的な治療を受けましょう

この段階では、基本的な歯周病治療に加え、場合によっては歯茎を切開して根の深い部分の歯石を徹底的に取り除く「歯周外科治療」が必要になることもあります。

専門家による適切な介入で、歯を守れる可能性は残されています。

レベル4 重度歯周炎|抜歯も視野に入る末期症状と歯を残す治療法

重度歯周炎は、歯槽骨が半分以上失われ、歯が支えを失って大きくグラついている状態です。

何もしなくても自然に歯が抜け落ちてしまうこともある、非常に危険な段階と言えます。

歯周ポケットが8mm以上に達することもあり、食事に支障が出るほどの痛みや強い口臭を伴います。

ここまで進行すると、残念ながら抜歯も現実的な選択肢として考えなければなりません。

なおみ

もうこの歯は抜くしかないのでしょうか…?

青木院長

すぐに諦める必要はありません。失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」など、歯を残すための先進的な治療法もあります

たとえ抜歯という判断になったとしても、決して終わりではありません。

歯周病の治療をしっかり行い、お口の環境を整えた上で、インプラントやブリッジ、入れ歯といった方法で再び噛める状態を取り戻すことができます。

まずは現状を正確に診断し、最善の道を探ることが何よりも大切です。

歯が抜ける前兆に気づいたら今日から始める3つの対策

手鏡で口元を確認し悩んでいる女性

歯が抜ける前兆に気づいたとしても、決して手遅れではありません。

むしろ、ご自身の体のサインに気づけた今が、歯の寿命を延ばすための大切な転換点です。

ここで重要なのは、不安な気持ちのまま立ち止まらず、今日からできる対策を始めることです。

ご紹介する3つの対策は、歯周病の進行を食い止め、あなたの大切な歯を守るために不可欠です。

一つひとつ、ご自身のペースで構いませんので、確実に行動に移していきましょう。

対策1 不安を抱えずに信頼できる歯医者へ相談

歯が抜ける前兆を感じたとき、最も優先すべき行動は歯科医院への相談です。

「怒られたらどうしよう」「もう手遅れだと言われたら怖い」という気持ちはよく分かります。

しかし、自己判断で放置してしまうことが、歯を失う一番のリスクなのです。

現在の状況を正確に把握し、最善の治療法を見つけるためには、専門家の診断が欠かせません。

勇気を出して一歩を踏み出すことが、あなたの歯を守るための最短ルートになります。

なおみ

ネットで調べれば調べるほど、どの歯医者が良いのか分からなくなってしまいます…

青木院長

あなたの話を丁寧に聞き、治療の選択肢を一緒に考えてくれる先生を見つけることが大切です

信頼できる歯医者を見つけるために、以下の3つのポイントを参考にしてください。

まずは相談に行くだけでも大丈夫です。

現状を知ることが、不安を解消する第一歩となります。

対策2 出血を恐れない優しい歯磨きと正しい応急処置

歯茎から出血したり歯がグラグラしたりすると、怖くてその部分を避けて磨きがちです。

しかし、それは逆効果。

汚れが溜まり、さらに歯周病が悪化してしまいます。

大切なのは、出血を恐れず、力を入れずに優しくケアを続けることです。

また、症状を悪化させないための応急処置とは、歯に余計な刺激を与えないように注意して生活することです。

具体的には、グラグラする歯を指や舌で触らない、硬い食べ物を避けるといった配慮が求められます。

なおみ

血が出るのは、もっと悪くなっているサインなのではと不安になります…

青木院長

出血は「ここに細菌がいますよ」という体からのサイン。優しく汚れを取り除くことで、炎症は少しずつ落ち着きます

今日から実践できる正しいケア方法をまとめました。

正しいセルフケアは、歯科医院での専門的な治療効果を高める上でも重要です。

対策3 歯周病の進行を抑える生活習慣の見直し

歯周病は、お口の中のケアだけで完結する病気ではありません。

実は、喫煙や食生活、睡眠といった日々の習慣が、歯周病の進行に深く関わっています。

体の免疫力を高め、歯周病菌と戦う力を内側からサポートすることが、歯を守る上で不可欠なのです。

特に喫煙は、歯茎の血流を悪化させ、歯周病の進行を加速させる最大の危険因子です。

禁煙や節煙を心がけるだけでも、歯周病治療にとって大きな一歩となります。

なおみ

仕事や家事で忙しく、自分の生活習慣までなかなか見直せませんでした

青木院長

全てを一度に変えるのは大変です。まずは禁煙や節煙など、一つから始めてみましょう

歯周病のリスクを高める生活習慣と、その改善策をご紹介します。

生活習慣を見直すことは、歯周病の進行を抑えるだけでなく、全身の健康を維持するためにもつながります。

よくある質問(FAQ)

歯周病の治療費はどのくらいかかりますか?保険は適用されますか?

基本的な歯周病治療である歯周ポケットの深さの検査や、歯石除去(スケーリング)は健康保険が適用されます。

費用は進行度によって異なりますが、数千円からが目安となります。

ただし、溶けてしまった歯槽骨を回復させるための再生療法など、より専門的な治療法は自費診療です。

まずは歯医者で診察を受け、ご自身の状態に合わせた治療計画と明確な費用を確認することが大切です。

歯がグラグラします。もう手遅れで抜歯するしかないのでしょうか?

歯がグラグラすると「もう手遅れかも」と大変ご不安になりますよね。

しかし、すぐに抜歯と決まるわけではありません。

歯がグラグラするのは、歯周病によって歯を支える骨が溶けているサインですが、歯を残すための治療法は存在します。

歯周病の進行を食い止め、これ以上骨が失われないように徹底的な歯石除去を行ったり、特殊な材料で隣の歯と固定したりすることで、歯の寿命を延ばすことが可能です。

諦めずに、まずは専門家である歯科医師に相談してください。

歯石除去は痛いと聞きました。痛みに弱いのですが大丈夫でしょうか?

歯石除去(スケーリング)に対して、痛みへのご心配があるのですね。

歯茎に炎症があったり、歯周ポケットが深かったりすると、処置中に痛みを感じることがあります。

そのような場合は、事前に表面麻酔を塗布したり、注射による麻酔を使用したりして、痛みを最小限に抑えながら治療を進めます。

痛みを我慢する必要は全くありませんので、治療の前に「痛みに弱い」ということを遠慮なくお伝えください。

歯周病で歯が自然に抜ける確率はどのくらいですか?また、歯が抜ける順番はありますか?

歯周病の末期症状では、歯を支える歯槽骨がほとんどなくなり、歯が自然に抜けることがあります。

その確率を具体的な数字で示すことは難しいですが、重度の歯周病を放置すれば、そのリスクは非常に高くなります。

一般的に歯が抜ける順番は、清掃が難しく力がかかりやすい奥歯から始まり、次に前歯へと進むことが多いです。

しかし、これはあくまで傾向であり、かみ合わせや歯並びによって個人差が大きいため、一本でも多く歯を残すための予防と早期治療が重要です。

もし歯が抜けてしまった場合、歯が抜けた後はどうすればいいですか?

万が一、歯周病で歯が抜けた後、その場所を放置することは避けるべきです。

抜けたスペースに隣の歯が倒れ込んできたり、かみ合う相手の歯が伸びてきたりして、お口全体のバランスが崩れてしまいます。

歯が抜けた後を補う治療法には、主に「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の3つの選択肢があります。

どの治療法が最適かは、残っている歯や骨の状態によって異なります。

まずは歯周病の進行を食い止める治療を行い、お口の環境を整えてから、最適な方法を選んでいきましょう。

歯茎から出血や膿が出ています。家でできる応急処置はありますか?

歯茎からの出血や膿は、歯周病菌と体が戦っている証拠です。

ご自宅でできる応急処置として、まずグラグラする歯を舌や指で触らないようにしてください。

そして、出血を恐れずに、柔らかい歯ブラシで歯と歯茎の境目を優しく丁寧に歯磨きすることが大切です。

ただし、これらはあくまで歯科医院にかかるまでの応急処置です。

膿が出ている状態は、原因である歯周病菌が歯周ポケットの奥深くにいる証拠ですから、根本的な解決には専門的な治療が不可欠です。

できるだけ早く歯医者を受診しましょう。

歯槽骨が溶けるとはどういうことですか?一度溶けた骨は元に戻りますか?

歯槽骨が溶けるというのは、家の基礎であるコンクリートが少しずつ崩れていくような状態です。

歯周病菌が出す毒素に対する体の防御反応によって、歯を支えている顎の骨が破壊されてしまいます。

これが歯がグラグラする原因です。

残念ながら、一度失われた歯槽骨は自然に元の状態へ戻ることはありません。

しかし、歯周組織再生療法という専門的な治療法を用いることで、失われた骨の一部を再生させることが可能なケースもあります。

まずは、これ以上骨が溶けないように進行を食い止めることが最優先です。

症状がなくても定期検診は必要ですか?どれくらいの頻度で行けば良いですか?

はい、症状がなくても定期検診は非常に重要です。

歯周病は初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどなく、ご自身のセルフチェックだけでは気づかないうちに進行していることが多いからです。

定期検診では、ご自身では取り切れない歯石除去を行い、歯周ポケットの深さを測ることで、病気のサインを早期に発見できます。

お口の状態によりますが、3〜6ヶ月に一度の頻度で受診することで、歯周病の予防と早期発見につながり、将来歯を失うリスクを大幅に減らすことが可能です。

まとめ

この記事では、歯周病で歯が抜ける前に現れるサインと、ご自身でできる対策について詳しく解説しました。

最も重要な点は、歯周病が痛みなどの自覚症状がないまま歯を支えている大切な骨を溶かしてしまう病気であるという事実です。

歯が抜ける前兆は、ご自身の歯を守るための最後のチャンスを知らせる合図となります。

一つでも当てはまる症状があれば自己判断で放置せず、信頼できる歯医者に相談して、まずはご自身の正確な状態を知ることから始めましょう。

歯周病治療3週間集中プログラムの症例一覧

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