歯ぐらぐらは放置しないで|大人が知るべき5つの原因と抜ける前の治療法

歯ぐらぐらは放置しないで|大人が知るべき5つの原因と抜ける前の治療法

歯がぐらぐらすると「もう手遅れかもしれない」と不安になりますよね。

ですが、それは体からの「ここに問題があります」という大切なサインなのです。

この記事では、歯がぐらつく5つの主な原因を突き止め、ご自身でできる応急処置から歯科医院での具体的な治療法までを詳しく解説します。

放置すれば歯を失うだけでなく、全身の健康にまで影響を及ぼすため、一日も早い対処が重要です。

なおみ

このまま放置したら、本当に歯が抜けてしまうのでしょうか…?

青木院長

はい、歯を支える骨が溶かされ続けるため、最終的には抜けてしまいます。だからこそ早期の対応が鍵なのです

この記事を監修した人

歯科医師/院長 青木 英明(あおき ひであき)
資格・所属団体 日本抗加齢医学会 専門医、日本矯正歯科学会、日本顎咬合学会、茨城インプラント研究会、日本健康医療学会、日本歯科人間ドック学会

目次

歯のぐらつきは放置できない体からの危険信号

歯のぐらつきが心配で頬を押さえる女性

先述の通り、歯のぐらつきは放置できない体からの危険信号です。

このサインを見逃さず、正しく対処することが、ご自身の歯を守るための第一歩になります。

放置すれば歯を失うだけでなく、全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。

しかし、原因を突き止めて一日も早く対処すれば、未来は変えられます。

歯が抜ける前に知っておくべきこと

大切な歯が抜けてしまうと、食事を楽しめなくなるだけでなく、見た目や発音にも影響が出ます。

さらに、日本人が歯を失う原因の第1位は虫歯ではなく、歯周病であるという事実を知っておくことが重要です。

45歳以上の日本人の約4割が歯周病にかかっているというデータも存在します。

歯周病菌は血液を通じて全身に広がり、糖尿病や心臓疾患などのリスクを高めることがわかっています。

なおみ

虫歯じゃなくても歯周病で歯が抜けてしまうのでしょうか…?

青木院長

はい、歯周病は歯が抜けるだけでなく、糖尿病や心臓疾患などのリスクも高くなります。歯を残すためにも、なるべく早く治療をしましょう

歯を失ってから後悔しないためにも、ぐらつきを「年のせい」と諦めないでください。

原因を突き止めて治療を始めることが、未来の健康な生活を守ることにつながります。

健康な歯でも起こる生理的動揺との違い

実は、完全に健康な歯でも、指で押すとわずかに動きます。

これは生理的動揺と呼ばれ、歯と顎の骨の間にある「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような組織による正常な動きです。

この生理的動揺は、通常0.2mm以下のわずかな動きです。

もし、舌で触っても動く感覚がある、前後左右に明らかに揺れる、といった場合は、病的なぐらつきのサインと言えます。

ご自身の歯の動きが正常な範囲を超えていると感じたら、それは歯科医院で診察を受けるべきサインです。

なぜ大人の歯がぐらつくのかそのメカニズム

大人の歯がぐらつく主な理由は、歯を支えている土台である顎の骨(歯槽骨)が溶けてしまうことにあります。

歯は歯茎だけで支えられているのではなく、その下にある骨によって頑丈に固定されているのです。

歯周病菌などの細菌が炎症を引き起こすと、私たちの体は防御反応として、炎症から逃げるように自らの骨を溶かしてしまいます。

この骨の吸収が進むと、歯を支える面積が減少し、まるで地面に刺さった杭が緩むように歯がぐらつき始めます。

なおみ

一度溶けてしまった骨は、もう元には戻らないのですか?

青木院長

残念ながら、完全に元通りにすることは難しいです。だからこそ、これ以上骨が溶けるのを食い止める治療が何よりも大切になります。

この仕組みを理解すると、なぜぐらつきを放置してはいけないのか、なぜ早期治療が重要なのかがお分かりいただけると思います。

あなたの症状はどれ?大人の歯がぐらつく5つの主な原因

歯が抜けることを心配する女性

大人の歯がぐらつく原因は一つではありません。

ご自身の症状に合った原因を正しく突き止めることが、適切な治療への第一歩です

歯周病、噛み合わせ、歯の根の問題など、原因によって対処法は全く異なります。

まずはご自身の症状がどれに当てはまるか、冷静に確認してみましょう。

これらの原因は、一つだけでなく複数が絡み合っていることもあります。

以下の項目でそれぞれの原因を詳しく解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

原因1-最も多い歯周病による歯を支える骨の吸収

歯周病は、歯垢(プラーク)内の細菌が原因で歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かす病気です。

日本人が歯を失う原因の第1位でありながら、初期には痛みなどの自覚症状がほとんどなく進行するため「沈黙の病気」とも呼ばれます。

実際に、45歳以上の成人の約4割が歯周病であるという統計データもあります。

初期段階では歯磨きの際の出血程度ですが、骨が溶け始めると歯が支えを失い、ぐらつき始めます。

なおみ

歯磨きで血が出るくらいで、歯医者さんに行くのは大げさかしら…

青木院長

いいえ、その出血こそが歯周病の始まりを知らせるサインです。骨が溶けてしまう前に、初期段階で進行を食い止めることが何より重要ですよ

歯周病によるぐらつきは、放置すれば確実に悪化し、最終的に歯が抜けるだけでなく、歯周病菌が全身に回り、糖尿病や心臓疾患などのリスクを高めます。

少しでも心当たりがあれば、すぐに歯科医院で精密な検査を受けましょう。

原因2-無意識の食いしばりや歯ぎしりによる過度な負担

食いしばりや歯ぎしり(ブラキシズム)とは、日中や就寝中に無意識のうちに上下の歯を強く噛みしめたり、ギリギリとこすり合わせたりする癖のことです。

就寝中の歯ぎしりでは、時にご自身の体重の2倍以上、60kgから100kgを超えるほどの破壊的な力が歯にかかります

この過剰な力が毎日特定の歯に加わり続けると、歯と骨をつなぐクッションの役割を持つ「歯根膜」という組織がダメージを受け、炎症を起こして歯がぐらつく原因となります。

なおみ

朝起きると顎が疲れていることがあるけど、これも関係あるの?

青木院長

はい、それは夜間に無意識に食いしばりをしている代表的なサインです。ご自身では気づきにくい癖なので、歯や顎を守るための対策が必要です

食いしばりや歯ぎしりは、ストレスや集中している時の癖が原因のことも多いです。

放置すると歯が割れたり、顎関節症を引き起こしたりします。

歯科医院で噛み合わせを調整したり、就寝時にナイトガード(マウスピース)を装着したりして、大切な歯を過度な力から守ることが必要です。

原因3-神経のない差し歯などに起こりやすい歯の根の破折

歯根破折(しこんはせつ)とは、文字通り歯の根っこが割れたり、ヒビが入ったりしてしまう状態のことです。

特に一本だけがぐらつく場合に、この原因が疑われます。

過去にむし歯治療で神経を抜いた歯は、歯に栄養を送る血管も失われるため、時間が経つと枯れ木のようにもろくなります。

そのため、硬いものを噛んだ時などのささいな力で、差し歯の土台ごと歯の根にヒビが入り、最終的に真っ二つに割れてしまうことも少なくありません。

なおみ

昔治療した差し歯が一本だけぐらぐらする気がします…

青木院長

一本だけが急に動くようになった場合、歯根破折の可能性が考えられます。レントゲンで詳しく調べる必要がありますね

歯根破折は初期の小さなヒビだとレントゲンでも発見が難しい場合があります。

しかし、放置すると割れ目から細菌が入り込み、周囲の骨を溶かす原因になります。

噛んだ時の痛みや、歯茎にニキビのような腫れが繰り返しできる場合は、早めに受診しましょう。

原因4-歯の根の先に膿が溜まる根尖性歯周炎

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは、歯の根の先端(根尖)の周囲に、細菌感染が原因で炎症が起き、膿が袋のように溜まってしまう病気です。

むし歯が神経まで達したまま放置した場合や、過去に行った根の治療が不完全で内部に細菌が残っていると、細菌が根の先からあふれ出て膿の袋(根尖病巣)を作ります。

この膿の圧力によって周囲の骨が溶かされ、歯が土台から浮き上がったように感じたり、押すとぐらついたりします

なおみ

歯茎にニキビみたいなものができて、押すと少しだけ膿が出るのだけど…

青木院長

それは根の先に溜まった膿が、外に出ようとして作った出口(サイナストラクト)かもしれません。根本的な原因を取り除く治療が必要です。

根尖性歯周炎は、再度根の中を徹底的に洗浄・消毒する治療(感染根管治療)が必要です。

膿の袋が大きくなると、治療しても治りにくくなり、抜歯に至るケースもあります。

歯茎の異変を感じたら、放置せずにすぐに相談してください。

原因5-転倒や事故による外傷や物理的な衝撃

外傷(がいしょう)による歯のぐらつきは、転んだり、スポーツで顔をぶつけたり、硬い食べ物を噛んだりした際に、歯に強い物理的な衝撃が加わることで起こります。

強い衝撃を受けると、歯と顎の骨をつないでいるクッション役の靭帯「歯根膜」が伸びたり、一部が断裂したりして歯が動揺します。

見た目には歯が欠けたり折れたりしていなくても、歯の根っこが折れたり、歯の神経がダメージを受けたりする可能性があります。

なおみ

ぶつけた後、少しぐらつくけど痛みはないから大丈夫かしら?

青木院長

痛みがない場合でも油断は禁物です。数週間から数ヶ月経ってから、歯の神経が死んで黒っぽく変色してくることがあります。念のため受診をおすすめします

歯をぶつけた際は、できるだけ早く歯科医院でレントゲン検査などを受け、内部の状態を確認することが大切です。

必要に応じて隣の歯と一時的に接着剤で固定し、歯を安静にさせる処置を行います。

事故直後の迅速な対応が、その歯の寿命を左右します。

抜歯を避けるための治療法と今すぐできる応急処置

歯医者さんの診察イメージ

歯がぐらつくと「もう抜くしかないのでは…」と強い不安を感じますよね。

しかし、すぐに諦める必要はありません。

抜歯はあくまで最終手段であり、一日でも早く原因に合わせた適切な治療を始めることが、あなたの大切な歯を守る最も確実な方法です。

ここでは、歯科医院での治療法と、受診前にご自身でできることをご紹介します。

決して一人で悩まず、専門家と一緒に最善の道を探しましょう。

歯科医院へ行く前に自宅でできること

歯がぐらついて痛む時、すぐに歯科医院へ行けない状況もあるかと思います。

そのような時のための応急処置とは、あくまで症状を一時的に和らげ、悪化を防ぐための方法です。

根本的な原因を治すものではないことを理解しておく必要があります。

痛みが強い、腫れているといった症状がある場合は、まずご紹介する処置で症状を落ち着かせましょう。

市販の痛み止めを服用する場合は、用法・用量を必ず守ってください

この処置で痛みが引いたとしても、問題が解決したわけではないので、必ず早めに歯科医院を受診しましょう。

なおみ

歯医者に行くまで、どうしたらいいのでしょうか?

青木院長

まずは慌てず、ご紹介する応急処置で症状を和らげてくださいね。

これらの応急処置は、あくまで歯科医院を受診するまでの一時的な対策です。

根本的な解決には専門的な診断と治療が不可欠です。

症状を悪化させる絶対にやってはいけない行動

歯がぐらつくと気になって、つい触りたくなりますが、その行動が症状を悪化させる可能性があります。

ぐらついている歯を安静に保ち、余計な刺激を与えないことが非常に重要です。

特に、ご自身の判断で無理に動かしたり、抜こうとしたりする行為は絶対に避けてください。

歯を支えている周りの組織をさらに傷つけ、本来なら残せたはずの歯まで失う原因になりかねません

喫煙も血行を悪くして歯周病の治りを妨げるため、この機会に控えることをお勧めします。

なおみ

気になって、つい舌で押してしまうんです…

青木院長

そのお気持ちはよくわかります。ですが、今は安静にすることが一番の治療ですよ

良かれと思って行ったことが、かえって症状を悪化させるケースは少なくありません。

不安な時は自己判断せず、専門家である私たち歯科医師に任せてください。

歯科医院での精密な検査と診断の流れ

「歯医者で何をされるんだろう」という不安は、治療内容がわからないことから生まれます。

治療の第一歩は、なぜ歯がぐらついているのか、その根本原因を正確に突き止めることです。

そのため、いくつかの精密な検査を行います。

検査では、レントゲン撮影で歯を支える骨の状態や歯の根に問題がないかを確認したり、歯周ポケットの深さを測って歯周病の進行度を調べたりします。

これらの検査には通常30分から1時間ほどお時間をいただき、痛みに配慮しながら丁寧に進めますのでご安心ください。

なおみ

検査って、痛いんでしょうか?

青木院長

ご安心ください。お痛みを感じやすい部分を検査する際は、お声がけしながら慎重に進めますね

検査結果は、写真やレントゲンをお見せしながら詳しくご説明します。

その上で、あなたに合った治療計画を一緒に立てていきます。

歯周病の進行度に合わせた治療ステップ

もし歯のぐらつきの原因が歯周病だった場合、歯周病治療の目的は、原因であるプラーク(歯垢)や歯石といった細菌の塊を徹底的に取り除くことです。

これにより歯茎の炎症を抑え、病気の進行を食い止めます。

治療は歯周病の進行度によって異なります。

軽度であれば歯の表面の歯石を取り除く「スケーリング」で改善が見込めますが、進行している場合は歯周ポケットの奥深くに入り込んだ歯石を取り除く「SRP」や、外科的な処置が必要になることもあります。

保険診療のルールに基づき、通常は4〜6回に分けて丁寧に行います

なおみ

歯石を取るだけで、本当にぐらつきは治るんですか?

青木院長

歯石除去は進行を食い止めるための第一歩です。これ以上悪化させないために、ご自宅でのケアと歯科医院での定期的なメインテナンスがとても重要になります

治療の成功には、歯科医院での専門的な処置と、患者さんご自身の毎日のセルフケアの両方が不可欠です。

一緒に頑張りましょう。

噛み合わせや歯ぎしりへの対処法

歯ぎしりや無意識の食いしばりによって特定の歯に強い力がかかり続けると、歯を支える組織がダメージを受け、歯がぐらつくことがあります。

これを咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)と呼びます。

この場合、歯周病の治療と並行して、歯にかかる過剰な力をコントロールする対処が必要です。

代表的な方法は、就寝時に装着する「ナイトガード」というマウスピースです。

ナイトガードは、睡眠中に歯にかかる60kg以上もの破壊的な力から歯を守るための重要な装置です

その他、全体のバランスを整えるために、歯をわずかに削って噛み合わせを調整することもあります。

なおみ

そういえば、朝起きると顎が疲れていることがあります…

青木院長

それは歯ぎしりや食いしばりのサインかもしれません。ナイトガードを作製することで、歯と顎への負担を大きく減らすことができますよ

ご自身では気づきにくい無意識の癖から大切な歯を守るために、このような対処法があることを知っておいてください。

ぐらつく歯を安静にさせるための固定処置

歯のぐらつきが大きい場合、歯周組織が回復するまでの間、歯を安静にさせることが必要です。

そのための処置が暫間固定(ざんかんこてい)で、ぐらついている歯を両隣の健康な歯と一時的に接着して安定させます。

この処置は、重度の歯周病で噛むたびに歯が動いてしまう場合や、転倒などの外傷で歯がぐらついた場合に行います。

医療用の接着剤やワイヤーを用いて数週間から数ヶ月間固定し、歯が安静な状態で治癒するのを待ちます

これは骨折した時にギプスで固定するのと同じようなイメージです。

なおみ

歯を固定するなんて、見た目が気になります…

青木院長

ご安心ください。できるだけ目立たないように、歯の色に近い白い接着剤やワイヤーを使用して、審美性にも配慮します

この固定はあくまで一時的なもので、歯周病治療など根本的な原因へのアプローチと並行して行います。

歯を残せない場合の抜歯という選択肢

様々な治療を尽くしても、残念ながら歯を残すことが難しいと判断されることがあります。

抜歯は、私たち歯科医師にとっても苦渋の決断であり、あくまで最終的な選択肢です。

歯を支える骨がほとんどなく回復の見込みがない場合や、歯の根が割れてしまって感染が広がっている場合など、その歯を無理に残すことが周りの健康な歯や顎の骨にまで悪影響を及ぼすと判断した場合に、やむを得ず抜歯をご提案します。

その際は、なぜ抜歯が必要なのかを十分に説明し、必ずご納得いただいてから治療を進めます。

なおみ

もし歯を抜くことになったら、その後はどうなるのでしょうか?

青木院長

抜いた後も、インプラントやブリッジ、入れ歯といった様々な方法で、しっかりと噛める状態を取り戻せます。あなたに合った最善の方法を一緒に考えましょう

万が一抜歯という選択になったとしても、それは終わりではありません。

快適な食生活を取り戻し、お口全体の健康を守るための新しいスタートだと捉えてください。

私たちが責任を持ってサポートします。

歯の健康が未来の全身の健康につながる理由

笑顔の家族と歯のイラストを使った歯科医療イメージ

歯がぐらつく、歯茎から出血するといったお口のトラブルは、お口の中だけの問題だと考えてはいませんか。

実は、お口の健康は全身の健康状態を映す鏡であり、歯周病菌が全身のさまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。

大切な歯を守ることは、ご自身の輝かしい未来を守ることに直結するのです。

お口の健康が、なぜ全身にまで影響を及ぼすのか。

その理由をこれから詳しく見ていきましょう。

歯のケアは、単なるお口の中の問題解決にとどまりません。

生涯にわたる健康への大切な投資であると理解することが重要です。

歯周病が引き起こす全身の病気

歯周病菌とは、お口の中に潜んでいるだけではなく、炎症を起こした歯茎の血管から体内に侵入し、血流に乗って全身をめぐる力を持つ細菌のことです。

この菌が、お口から遠く離れた臓器にまでたどり着き、深刻な病気を引き起こす原因となります。

実際に、歯周病にかかっている人はそうでない人と比較して、脳梗塞のリスクが2.8倍、心筋梗塞などの心臓疾患のリスクが1.9倍にも高まるという研究データがあります。

その他にも、関節リウマチや腎臓病など、多くの病気との関連が指摘されています。

なおみ

歯の病気が、心臓の病気にも関係するなんて…

青木院長

はい、お口の中の細菌が血管を通じて全身を駆け巡り、健康を脅かすことがわかっています

歯周病の放置は、歯を失うだけでなく、命に関わる病気のリスクを高める行為です。

お口のケアを徹底することが、全身の健康を守るための第一歩になります。

糖尿病と歯周病の深刻な相互関係

歯周病は、古くから糖尿病の合併症の一つとして知られており、近年では「6番目の合併症」として、その深刻な関係性が広く認知されるようになりました。

両者は互いに悪影響を及ぼし合い、症状を悪化させるという、非常に厄介な関係にあります。

歯周病による炎症で生じる物質は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの働きを妨げ、血糖コントロールを困難にします。

一方で、糖尿病によって高血糖状態が続くと、体の免疫力が低下するため、歯周病菌が繁殖しやすく、歯を支える骨の破壊も進行しやすくなるのです。

このように、歯周病と糖尿病は、一度悪循環に陥ると抜け出すのが難しい関係です。

糖尿病の治療と予防の両面から、歯周病をしっかりとコントロールすることが欠かせません。

治療後の再発を防ぐ定期メインテナンスの重要性

定期メインテナンスは、治療完了後の健康な状態を維持し、病気の再発を防ぐために定期的に行う専門的なクリーニングや検査です。

治療の終わりはゴールではなく、健康な状態を維持し続けることこそが本当の目標なのです。

どれだけ丁寧に歯磨きをしても、ご自宅でのケアだけでは汚れを100%落としきることはできません。

除去しきれなかったプラークは、わずか2〜3日で歯石という硬い塊に変化し、ご自身の歯ブラシでは取り除けなくなります。

そのため、3〜6ヶ月に一度は歯科医院で専門的なクリーニングを受け、再発のリスクを根本から取り除くことが重要です。

なおみ

治療が終わっても、また歯医者に通わないといけないの?

青木院長

はい、頑張って治した大切な歯を今後も守り続けるために、プロによるチェックが不可欠なのです

定期メインテナンスは、お口の健康診断と捉えましょう。

問題が小さなうちに対処することで、将来の大きなトラブルを防ぎ、結果的に治療にかかる時間や費用を抑えることにもつながります。

健康な歯を維持するための日々のセルフケア

歯科医院での専門的な治療やメインテナンスの効果を最大限に引き出し、お口の健康を長期的に守るための土台となるのが、ご自身で毎日行うセルフケアです。

日々の正しい習慣が、何よりも確かな予防となります。

歯ブラシだけで除去できる歯と歯の間の汚れは、全体の約60%に過ぎません。

デンタルフロスや歯間ブラシといった補助的な清掃用具を併用することで、プラークの除去率を90%近くまで高めることができます。

毎日の正しいセルフケアは、歯周病や虫歯を予防する上で最も効果的です。

今日からの少しの心がけが、10年後、20年後のあなたのお口の健康、そして全身の健康を支える礎となります。

よくある質問(FAQ)

ぐらつく歯の治療には、高額な費用がかかりますか?

歯の治療、特にぐらつきを治すとなると費用が心配になりますよね。

ご安心ください、歯がぐらつく原因を特定するための検査や、歯周病が原因だった場合の歯石除去、抜歯といった基本的な治療は健康保険が適用されます。

まずは保険診療で原因を突き止め、どのような治療が必要か計画を立てることが大切です。

より専門的な歯周組織再生療法や、抜歯後にインプラントを選択する場合などは自費診療となります。

どのような選択肢があるか、費用はどのくらいかかるのか、事前に歯医者でしっかりと説明を受け、ご自身が納得できる治療法を選びましょう。

歯がぐらつく治療は痛いのでしょうか?

治療中の痛みがご不安な気持ち、よくわかります。

基本的に、歯周病の原因となる歯石を取り除く処置や、ぐらつく歯を固定する治療で強い痛みを感じることはほとんどありません。

歯ぐきの深い部分を処置する際には、痛くないように表面麻酔や注射による麻酔をしっかり行います。

歯科医師や歯科衛生士は、みなさんがリラックスして治療を受けられるよう常に配慮しています。

痛みが苦手なことは、遠慮なく伝えてください。

ぐらつく歯を自力で治す方法はありますか?

ご自身でなんとかしたいお気持ちは察しますが、残念ながら大人の歯のぐらつきを自力で治す方法はありません。

歯周病や歯の根の問題が原因の場合、放置すれば症状は悪化し、最終的に歯が抜ける可能性が高まります。

市販薬や歯磨き粉での応急処置は一時的に症状を和らげるだけで、根本的な解決にはなりません。

ぐらつきは「これ以上放置しては危険」という体からのサインです。

歯を守るためには、一刻も早く歯科医院で専門的な診断と治療を受けることが最善の治し方です。

子供の歯がぐらぐらするのも、大人と同じ原因ですか?

お子様の歯がぐらつくと心配になりますが、その原因は大人とは違うことがほとんどです。

6歳から12歳頃の子供の場合、乳歯から永久歯への生え変わりによる自然なぐらつきがほとんどで、心配はいりません。

ただし、転んで歯をぶつけた後や、生えそろったはずの永久歯にぐらつきが見られる場合は注意が必要です。

外傷や噛み合わせの問題も考えられるため、そのような際は一度歯医者で診てもらうことをおすすめします。

奥歯や前歯が一本だけぐらつきます。これも歯周病ですか?

歯が一本だけぐらつく場合、歯周病の可能性もありますが、他の原因も考えられます。

特に奥歯は噛み合わせの力が強くかかるため、食いしばりなどで一本の歯に過度な負担がかかってぐらつくことがあります。

また、過去に神経を抜いた差し歯などがぐらつく場合は、歯の根が割れている(歯根破折)可能性も疑います。

いずれにせよ、レントゲンなどで詳しく状態を調べなければ正確な原因はわかりません。

早めに受診して、適切な診断を受けましょう。

ストレスが原因で歯がぐらつくことはありますか?

ストレスが直接歯をぐらつかせるわけではありません。

しかし、ストレスを感じると無意識のうちに歯を強く食いしばり、睡眠中に歯ぎしりをすることが多くなります。

この食いしばりが歯や歯を支える骨に大きな負担をかけ、ぐらつきや痛みの原因になるのです。

ご自身でできる対策としては、日中に食いしばっていないか意識したり、リラックスする時間を作ったりすることが有効です。

また、歯科医院で睡眠時につけるマウスピース(ナイトガード)を作製するのも、歯を守るための良い予防法になります。

まとめ

この記事では、大人の歯がぐらつく5つの主な原因と、抜歯を避けるための具体的な治療法について解説しました。

歯がぐらつく最大の原因は、自覚症状がないまま進行し、歯を支える骨を溶かしてしまう歯周病です。

「もう手遅れかもしれない」と一人で悩む必要はありません。

あなたの大切な歯を守るため、まずは一度、専門家である私たち歯科医師に相談することが重要です。

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