【放置は危険】歯がぐらつくし噛むと痛い5つの原因|歯周病や歯根破折のサインかも

歯がぐらつく、噛むと痛い。
この2つの症状が同時に現れた時、それは放置すると歯を失うことにもつながる、お口からの危険なサインです。
この記事では、歯周病や歯ぎしりといった5つの主な原因から、ご自身でできる応急処置、そして抜歯を避けるための根本的な治療法まで、歯科医師が詳しく解説します。
なおみこのまま歯が抜けてしまうんじゃないかと思うと、怖くて…
青木院長大丈夫です。原因を突き止めれば、適切な対処ができますよ
- 歯がぐらつき痛む5つの主な原因
- 痛みを和らげる応急処置と食事の工夫
- 放置するリスクと歯科医院での専門的な治療法
- 抜歯を避けるための歯の固定や根管治療
歯がぐらつく、噛むと痛いのは放置できない危険なサイン

この見出しのポイント
歯がぐらつく、噛むと痛い等の症状が同時に現れると多くの場合、見た目だけではわからない深刻な問題が隠れている可能性があります。
この不快な症状の裏には、歯を失うことに直結する原因が潜んでいることが多いため、まずは何が起きているのかを正しく理解することが、大切な歯を守るための第一歩になります。
「歯がぐらつく・噛むと痛い」が放置できない理由
「歯がぐらつく」「噛むと痛い」という症状は、歯を支えている土台が崩れ始めているサイン、つまり歯からのSOSです。
実際に、日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病(約37%)、第3位は歯の破折(約18%)であり、これらはどちらも歯のぐらつきや痛みを引き起こす代表的な原因です。
(出典: 公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書」2018年)
なおみ噛むと痛いし、歯がぐらつくし、歯が抜けないか不安でたまりません…
青木院長大丈夫です。今からでも決して遅くはありません。原因を突き止めれば、適切な対処ができますよ
このSOSを無視してしまうと、治療の選択肢が限られてしまい、最終的には抜歯という結果を招くリスクが高まります。
原因の特定と早期治療の重要性
歯がぐらつき痛む原因は一つではありません。
代表的なものに歯周病、過度な力による負担、歯の根の破折などがあり、原因によって治療法は全く異なります。
そのため、自己判断せずに原因を正確に特定することが何よりも重要です。
例えば、歯周病が原因であれば歯周基本治療が必要ですが、歯ぎしりが原因ならマウスピースの作製が有効です。
原因が異なればアプローチも180度変わるため、レントゲン撮影や歯周組織検査といった精密な検査が不可欠となります。
適切な治療を早く開始すればするほど、歯を残せる可能性は高まりますので、違和感を覚えたら、できるだけ早く専門家である歯科医師に相談してください。
不安を解消するための第一歩
「歯医者に行ったら何をされるんだろう」「いきなり抜歯と言われたらどうしよう」といった不安は、誰にでもある自然な感情です。
その不安を解消するための第一歩は、ご自身の今の状態を正しく知ることにあります。
まずは相談しやすい歯科医院を見つけ、検査と診断を受けることから始めましょう。
現在の状況、考えられる原因、治療の選択肢について丁寧に説明を受けることで、漠然とした恐怖は具体的な対処法への理解に変わります。
不安な気持ちを抱えたまま一人で悩まず、まずは専門家と一緒に問題解決への道筋を探すことが、安心して治療に進むための大切なステップです。
歯がぐらつき噛むと痛い5つの主な原因

歯のぐらつきと痛みが同時に起こる場合、それは単なる一時的な不調ではなく、歯を失う危険性がある重大なサインです。
複数の原因が考えられ、それぞれ対処法が異なります。
放置すれば症状は悪化する一方のため、まずはご自身の歯に何が起きているのかを正しく知ることが重要です。
| 原因 | 主な特徴 | 痛みの種類 | 進行すると |
|---|---|---|---|
| 歯周病 | 歯ぐきの腫れ・出血、歯が浮く感じ | 噛んだ時の鈍い痛み | 歯を支える骨が溶けて抜歯のリスク大 |
| 歯ぎしり・食いしばり | 特定の歯に強い圧力がかかる、朝起きた時の顎のだるさ | 噛み始めの痛み、知覚過敏のような痛み | 歯のすり減り、歯根破折 |
| 歯の根の破折 | 噛むとピリッとした鋭い痛み、特定の角度で痛む | 鋭い痛み、時々鈍痛 | 細菌感染が広がり、多くの場合抜歯 |
| 歯の根の先の膿 | 歯が浮いた感じ、ズキズキする痛み、歯ぐきのおでき | 持続的な痛み、噛むと響く | 周囲の骨が溶かされ、顔が腫れることも |
| 進行した虫歯・不適合な被せ物 | 冷たいものや甘いものがしみる、被せ物周辺の違和感 | 噛んだ時の鋭い痛み、何もしなくても痛む | 神経が死に、根の先に膿がたまる |
このように、原因によって症状の現れ方や放置した際のリスクは様々です。
自己判断はせず、正確な診断を受けることが、大切な歯を守るための第一歩となります。
原因1. 歯周病による歯を支える骨の破壊
歯周病とは、歯垢(プラーク)に含まれる細菌が歯ぐきに感染し、炎症を引き起こす病気です。
この炎症が進行すると、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。
日本の成人のおよそ8割が罹患しているともいわれる国民病で、初期段階では自覚症状がほとんどないのが特徴です。
骨という土台が溶かされて弱くなることで、歯は支えを失い、ぐらつき始めます。
なおみ歯磨きの時に血が出るくらいで、痛みがなかったので放置していました…
青木院長痛みがないまま進行するのが歯周病の怖いところです。ぐらつきはSOSのサインですよ
歯ぐきの腫れや出血に加え、歯が浮くような感じや噛んだ時の鈍い痛みがある場合は、歯周病がかなり進行しているサインです。
早期に歯周病治療を開始することが、抜歯を避ける鍵となります。
原因2. 歯ぎしりや食いしばりによる過度な負担
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とは、歯ぎしりや食いしばり、あるいは噛み合わせの悪さによって、特定の歯に許容範囲を超える力がかかり続けることで、歯を支える組織がダメージを受ける状態です。
人が食いしばる力は、時としてご自身の体重の2倍以上にもなります。
この強い力が毎日のようにかかり続けると、歯と骨をつなぐクッションの役割を持つ歯根膜が炎症を起こし、歯がぐらついたり噛んだ時に痛んだりします。
なおみ朝起きると、顎がだるいことがあります。関係ありますか?
青木院長はい、就寝中の無意識の歯ぎしりが原因の可能性があります。ストレスも一因です
日中や就寝中に無意識に行っていることも多いのが特徴です。
放置すると歯がすり減るだけでなく、歯にひびが入る原因にもなるため、就寝時に装着するマウスピースの使用や噛み合わせの調整といった対処法が必要です。
原因3. 歯の根のひび割れや破折
歯根破折(しこんはせつ)とは、文字通り歯の根っこにひびが入ったり、割れてしまったりする状態を指します。
歯ぐきの中の見えない部分で起こるため、レントゲンを撮影しないと発見が難しいのが特徴です。
特に過去に神経の治療(根管治療)をした差し歯などは、血液が通わなくなり枯れ木のようにもろくなるため、健康な歯に比べて破折のリスクが数倍高くなります。
硬いものを噛んだ瞬間などに、ピリッとした鋭い痛みを感じることがあります。
| 症状の例 | 特徴 |
|---|---|
| 痛み | 噛んだ時、特定の角度で鋭い痛み |
| 歯ぐきの腫れ | 破折した部分から細菌が入り、おできのように腫れる |
| 違和感 | なんとなく噛み心地が悪い、歯が浮いた感じ |
一度割れてしまった歯の根が自然にくっつくことはなく、放置すると細菌感染が広がります。
多くの場合、抜歯に至るため、違和感があればすぐに歯科医院で精密な検査を受けることが重要です。
原因4. 歯の根の先に溜まる膿
根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは、虫歯が進行したり過去の治療が不完全だったりすることが原因で、歯の根の先端に細菌が感染し、膿の袋(根尖病巣)ができてしまう病気です。
膿の袋が大きくなると、その圧力で周囲の骨が少しずつ溶かされていきます。
これによって歯が押し上げられるように浮いた感じがしたり、噛んだ時にズキズキと響くような強い痛みを感じたりします。
なおみ昔治療した差し歯の根元が、時々腫れることがあります…
青木院長それは根の先に膿が溜まっているサインかもしれません。早めの根管治療が必要です
疲労やストレスで体の免疫力が落ちた時に、急に腫れや痛みが強くなることもあります。
膿を取り除くための根本的な治療(根管治療)を行わない限り完治はしないため、放置は絶対にしないでください。
原因5. 進行した虫歯や不適合な被せ物
大きく進行した虫歯や、古くなって適合が悪くなった被せ物や詰め物も、歯のぐらつきや痛みの原因となります。
虫歯が歯の神経の近くまで達すると、噛んだ時の圧力が神経に伝わりやすくなり、鋭い痛みを感じます。
また、合わなくなった被せ物の隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯が再発している(二次う蝕)ことも少なくありません。
この場合、土台ごと不安定になり、被せ物ごとぐらつくように感じます。
| チェック項目 | 状態 |
|---|---|
| 見た目 | 被せ物と歯の境目に段差や黒ずみがある |
| 感覚 | 甘いものや冷たいものがしみる |
| 揺れ | 指で触ると被せ物だけが少し動くように感じる |
痛みを感じるということは、虫歯がかなり深くまで進行している証拠です。
放置すれば神経が死んでしまい、前述した根尖性歯周炎に移行するリスクが高まります。
早めに治療を受け、必要であれば被せ物を新しく作り直すことが大切です。
自宅でできる応急処置と歯科医院での根本治療法

歯がぐらつき噛むと痛いという症状が現れた時、まずは慌てずに対処することが重要です。
ご自宅でできる応急処置と、原因を根本から取り除くために歯科医院で行う治療法を知っておくことが何よりも大切です。
応急処置は、あくまで痛みを一時的に和らげるためのものです。
症状の根本的な解決には、歯科医師による正確な診断と、原因に応じた専門的な治療が不可欠になります。
自己判断で放置してしまうと、症状が悪化し、最終的に抜歯せざるを得ない状況になることもありますので、早めに歯科医院を受診しましょう。
原因によって治療法は全く異なります。
ご自身の歯を守るためにも、これからご紹介する対処法を参考に、適切な一歩を踏み出してください。
痛みを一時的に和らげるための応急処置
急な強い痛みで、すぐに歯科医院へ行けない場合に試せる応急処置があります。
最も有効なのは、市販の鎮痛剤を服用することです。
ドラッグストアなどで購入できるロキソプロフェンやイブプロフェンといった成分を含む鎮痛剤は、歯の痛みを抑える効果が期待できます。
痛む側の頬を、タオルで包んだ保冷剤などで10分程度冷やすと、炎症による腫れや痛みが和らぐこともあります。
ただし、これらは一時しのぎの対症療法に過ぎません。
なおみ痛み止めを飲んでおけば、歯医者に行かなくても治りますか?
青木院長痛み止めは一時しのぎです。原因を放置すると悪化するだけなので、必ず受診してくださいね。
| 応急処置の種類 | 具体的な方法とポイント |
|---|---|
| 市販の鎮痛剤の服用 | ロキソプロフェンやイブプロフェン配合のものが有効 |
| 患部を冷やす | タオルで包んだ保冷剤などを頬側から当てる |
| 口内を清潔に保つ | ぬるま湯で優しくうがいをする |
| 安静にする | ぐらつく歯を舌や指で触らないように注意 |
これらの応急処置で痛みが少し和らいでも、原因が取り除かれたわけではありません。
根本的な治療を受けるために、できるだけ早く歯科医院を予約しましょう。
ぐらつく歯に負担をかけないための食事の工夫
歯がぐらついている時に硬いものを噛むと、歯を支える組織にさらにダメージを与えてしまいます。
症状の悪化を防ぐためには、食事の内容を工夫することが非常に重要になります。
特に、せんべいやナッツ類、フランスパンのような硬い食べ物、ガムやキャラメルのように粘着性の高い食べ物は避けましょう。
食事の際は、おかゆや雑炊、豆腐、ヨーグルトといった、あまり噛まなくても食べられる柔らかいものを中心に摂ることをお勧めします。
痛む歯がある側とは反対の歯で、ゆっくり噛むように心がけてください。
| おすすめの食事 | 避けるべき食事 |
|---|---|
| おかゆ、雑炊、煮込みうどん | せんべい、ナッツ類 |
| スープ、ポタージュ、シチュー | フランスパン、硬い肉 |
| 豆腐、茶わん蒸し | ガム、キャラメル |
| ヨーグルト、プリン、ゼリー | スルメ、干物 |
食事の工夫は、あくまで歯科医院を受診するまでのつなぎの対策です。
歯に負担をかけない生活を送りながら、根本的な治療計画を立てていきましょう。
歯周病に対する専門的なクリーニングと指導
歯周病が原因で歯がぐらついている場合、治療の基本は原因菌の塊であるプラーク(歯垢)と、それが硬化した歯石を徹底的に取り除くことです。
歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士がスケーラーという専用の器具を用いて、ご自身の歯磨きでは除去できない歯周ポケットの奥深くに付着した歯石を丁寧に取り除きます。
進行度合いにもよりますが、深さ4mm以上の歯周ポケットが複数ある場合は、複数回に分けてクリーニングを行う必要があります。
治療と並行して、正しい歯磨きの方法やデンタルフロスの使い方など、ご自宅でのケア方法についても指導します。
なおみ歯磨きは毎日しているのに、なぜ歯周病になるのでしょうか?
青木院長磨いているつもりでも、磨き残しがあることが多いのです。プロの指導で正しいケアを身につけましょう。
一度徹底的にクリーニングしても、日々のケアを怠るとプラークは再び蓄積します。
治療後も定期的に歯科医院でメインテナンスを受け、健康な状態を維持していくことが、歯を守る上で最も大切です。
噛み合わせ調整とマウスピースによる負担軽減
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とは、歯ぎしりや食いしばり、あるいは悪い噛み合わせによって特定の歯に過剰な力がかかり、歯を支える組織がダメージを受けてしまう状態のことです。
自覚のない夜間の歯ぎしりでは、ご自身の体重の2倍以上、時には100kgを超える力が歯にかかっていることもあります。
この破壊的な力から歯を守るために、就寝時に装着するオーダーメイドのマウスピース(ナイトガード)を作製します。
また、特定の歯だけが強く当たっている場合は、その部分をわずかに削って、全体の噛み合わせのバランスを整える調整を行います。
| 治療法 | 対象となる症状 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 噛み合わせ調整 | 特定の歯だけが強く当たる、被せ物の高さが合わない | 噛む力の均等な分散、特定の歯への負担軽減 |
| マウスピース(ナイトガード) | 夜間の歯ぎしり、日中の食いしばり | 歯の摩耗防止、歯や顎関節へのダメージ軽減 |
マウスピース治療の多くは、健康保険が適用されます。
歯ぎしりや食いしばりの癖を指摘されたことがある方は、大切な歯がダメージを受ける前に、一度歯科医師に相談することをお勧めします。
歯の根の感染を取り除く根管治療
根管治療(こんかんちりょう)とは、虫歯が神経まで達したり、過去の治療が原因で歯の根の先に膿が溜まったりした際に行う、歯の根の中を清掃・消毒する治療です。
神経のない歯が痛むのは、この根の先の病気が原因であることが多いです。
非常に精密な技術が求められる治療で、ファイルと呼ばれる細い器具を使い、感染した神経や汚染物質を徹底的に除去します。
治療の成功率は一般的に80~90%といわれていますが、歯の根の形は複雑なため、残念ながら100%ではありません。
治療を途中でやめてしまうと、感染が再発・悪化し、抜歯に至る可能性が非常に高くなります。
なおみ神経のない歯なのに、なぜ痛むのですか?
青木院長歯の神経はなくても、歯を支える周りの骨や膜には神経があります。そこが炎症を起こして痛んでいるのですよ。
根管治療は、歯を残すための最後の砦ともいえる重要な治療です。
痛みがないからと中断せず、歯科医師の指示に従って最後まで通院を続けましょう。
抜歯を避けるための歯の固定処置
歯周病が重度に進行したり、外傷を受けたりして歯のぐらつきが著しい場合、その歯を隣り合う健康な歯と連結させて固定することで、抜歯を回避できることがあります。
歯科用の接着剤と、ワイヤーや特殊なファイバーテープを用いて、数本の歯を一体化させる処置です。
これにより、歯にかかる力を分散させ、約3ヶ月から半年程度、歯を安静な状態に保ち、周囲の歯周組織の回復を促します。
食事の際の不快感が軽減され、噛む機能も一時的に回復します。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ぐらつきを抑え、噛む機能を一時的に回復させる | 固定した歯全体の清掃が難しくなる |
| 抜歯を回避できる可能性がある | 固定源となる隣の歯に負担がかかる |
| 歯を安静に保ち、歯周組織の回復を促す | あくまで一時的な処置で、根本原因の解決が必要 |
この固定処置は、あくまで歯の延命を目的としたものです。
処置と並行して、歯周病の根本的な治療や噛み合わせの管理を徹底的に行うことが、歯を少しでも長く維持するための鍵となります。
歯や歯茎に違和感を覚えたらすぐに歯科受診を

この見出しのポイント
歯がぐらつく、噛むと痛いといった症状は、お口の中の健康が脅かされていることを示す、見過ごしてはならないサインです。
放置すれば大切な歯を失うことにもつながりかねません。
しかし、不安に思うことはありません。
原因を正しく突き止め、一日でも早く適切な治療を開始することが、ご自身の歯を守るための最も確実な方法です。
放置することで高まる抜歯のリスク
「放置」とは、痛みが和らいだり、慣れてしまったりして、歯科医院での検査や治療を受けずに時間を過ごしてしまうことを指します。
この時間が、お口の中の状態を深刻化させてしまいます。
例えば、歯周病が原因の場合、放置している間に歯を支える骨は静かに溶かされ続け、気づいた時には手遅れになっているケースは少なくありません。
治療が複雑になるだけでなく、治療期間が長引き、費用もかさんでしまうのです。
最終的に歯を残すことが困難になり、抜歯というつらい選択をせざるを得ない状況につながります。
なおみこのまま放っておいたら、本当に歯がなくなってしまうのでしょうか…?
青木院長はい、残念ながらその可能性は日に日に高まります。ですが、今行動を起こせば、その未来を変えることは十分に可能です。
歯を守るためには、問題が小さいうちに対処することが何よりも重要です。
自然治癒が期待できない症状の見極め
虫歯や歯周病、歯根破折といった歯の構造に関わるトラブルにおいて、「自然治癒」は期待できません。
風邪のように、安静にしていれば治るというものではないのです。
痛みが一時的に治まることがありますが、それは症状が改善したわけではありません。
むしろ、神経が壊死してしまったり、慢性化して体が痛みに慣れてしまったりしている危険な状態であることも考えられます。
症状が出ていない間も、病状は静かに進行していることを忘れてはいけません。
以下の症状は、特に速やかな受診が必要なサインです。
| 症状 | 危険度 | 放置した場合の主なリスク |
|---|---|---|
| 歯が明らかにグラグラと動く | ◎ | 歯を支える骨の深刻な破壊、歯の脱落 |
| 何もしていなくてもズキズキ痛む | ◎ | 急性炎症、膿の拡大、全身への影響 |
| 歯ぐきが大きく腫れて膿が出ている | ◎ | 歯槽骨の急激な破壊、感染の拡大 |
| 噛んだ時の痛みが日に日に強くなる | ◯ | 歯根破折の進行、根の病気の悪化 |
| 歯が浮いた感じが続いている | ◯ | 根の先に膿が溜まっている可能性 |
| 温かいものでも歯がしみる | ◯ | 虫歯が神経に到達している可能性 |
ご自身の判断で様子を見るのではなく、これらのサインに気づいたら、迷わず専門家である歯科医師の診断を仰ぎましょう。
安心して治療を受けるための歯科医院選び
治療を受けることは、単に痛みやぐらつきをなくすだけではありません。
硬いものでも気にせず食べられる喜び、大切な人との食事や会話を心から楽しめる自信、そして鏡に映る健康的な笑顔を取り戻すための大切なステップです。
そのための第一歩は、ご自身が納得して治療を任せられる、信頼できる歯科医院を見つけることです。
あなたの不安な気持ちに寄り添い、現在の状況や治療の選択肢について丁寧に説明してくれる歯科医師との出会いが、治療の成功を大きく左右します。
なおみどんな歯医者さんを選べばいいのか、それも不安です…
青木院長お気持ちはよくわかります。まずはあなたの話をじっくりと聞き、質問しやすい雰囲気のある歯科医院を探すことから始めてみましょう。
不安な気持ちを抱えたまま一人で悩まず、ぜひ勇気を出して専門家にご相談ください。
再び安心して食事や会話を楽しめる、健康な毎日を取り戻すために、私たちが全力で寄り添います。
よくある質問(FAQ)
- 歯がぐらついて痛む場合、何科を受診すればよいですか?
-
「歯科」または「歯医者さん」を受診してください。
歯がぐらついて痛む原因は、歯周病や噛み合わせ、歯の根の問題など多岐にわたります。
まずは総合的に診断できる歯科医院で、レントゲン撮影などの詳しい検査を受けることが大切です。
原因を正確に特定し、ご自身の状態に合った治療計画を立ててもらいましょう。
- ストレスで歯がぐらつくことはありますか?
-
はい、大いに関係します。
強いストレスは、就寝中の無意識の歯ぎしりや日中の食いしばりの主な原因となります。
ご自身の体重以上の力が歯にかかり続けることで、歯を支える組織がダメージを受け、ぐらつきや痛みを発生させます。
リラックスを心がけることも大切ですが、歯を守るためにはマウスピースによる治療も有効です。
- 昔治療した神経のない差し歯が痛むのはなぜですか?
-
神経のない歯でも、その周りには痛みを感じる組織(歯根膜)があります。
神経を抜いた差し歯は、健康な歯に比べて脆くなっており、硬いものを噛んだ時などに歯の根が割れる「歯根破折」を起こしやすいです。
また、根の先に細菌が感染して膿が溜まることも痛みの原因です。
これらは放置すると抜歯につながる危険なサインです。
- 痛みが強いのですが、市販の痛み止めで様子を見ても大丈夫ですか?
-
痛み止めは、あくまで一時的な応急処置です。
服用して痛みが和らいでも、原因が治ったわけではありません。
根本的な原因を放置すると症状は悪化し、治療がより複雑になったり、最終的に抜歯のリスクが高まったりします。
痛みが強いということは、それだけ深刻な状態であるサインですので、我慢せずにできるだけ早く歯科医院を受診してください。
- 歯が浮く感じがするのですが、これも危険なサインですか?
-
はい、歯が浮く感じも放置してはいけない危険なサインです。
歯と顎の骨の間には「歯根膜」というクッションの役目をする薄い膜があります。
歯周病や強い噛み合わせによってこの歯根膜が炎症を起こす(歯根膜炎)と、歯が浮くような違和感が出ます。
また、歯の根の先に膿が溜まっている場合も、歯が押し上げられて同様の感覚が起こります。
- 治療すれば歯のぐらつきは完全に治るのでしょうか?
-
原因に応じた適切な治療で、ぐらつきは改善に向かいます。
例えば、歯周病が原因なら歯石除去などの専門的な清掃、噛み合わせが原因ならマウスピースなどで歯を保護します。
ただし、歯周病で一度溶けてしまった骨は、基本的には元に戻りません。
ぐらつきが著しい場合には、隣の歯と連結して固定する治療法もありますので、まずは歯を残すための方法を相談することが重要です。
- 前歯と奥歯で、原因や治療法に違いはありますか?
-
原因に大きな違いはありませんが、かかる力の大きさや治療の進め方が異なる場合があります。
奥歯は食事の際に強い力がかかるため、歯ぎしりや食いしばりの影響を受けやすいです。
一方、前歯は見た目に関わるため、治療の際には審美的な配慮も重要になります。
どちらの歯であっても、ぐらつきや痛みがあれば早めに受診しましょう。
- もう抜歯するしかないのでしょうか?
-
すぐに諦める必要はありません。
重度の歯周病であっても、歯周組織再生療法という骨を再生させる治療法があったり、歯根破折でも状態によっては部分的に悪いところだけを取り除いて歯を残せる場合があります。
自己判断で「もう抜歯しかない」と決めつけずに、まずは精密な検査を受け、歯を残せる可能性を探ってくれる歯科医師に相談することが大切です。
まとめ:歯のぐらつき・痛みは放置せず専門家へ相談を
歯がぐらつき、噛むと痛むのは、放置すると歯を失うことにもつながる、お口からの危険なサインです。
この記事では、歯周病や歯ぎしり、歯の根の破折といった複数の原因から、ご自身でできる応急処置、そして抜歯を避けるための根本的な治療法まで詳しく解説しました。
- 歯がぐらつき痛むのは歯周病や歯根破折など、歯を失う危険なサイン
- 痛み止めや食事の工夫はあくまで一時的な応急処置で、自然には治らない
- 根本的な解決には歯科医院での正確な診断と原因に応じた専門治療が不可欠
症状の裏には、ご自身では判断できない深刻な問題が隠れている場合があります。
不安な気持ちを抱えたまま一人で悩まず、信頼できる歯科医院で早めに相談し、再び安心して食事や会話を楽しめる健康な状態を取り戻しましょう。
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