歯周病治療で歯茎の腫れや出血は治る?初期症状から重度の膿まで対応する治療法

歯周病治療で歯茎の腫れや出血は治る?初期症状から重度の膿まで対応する治療法

歯周病は「もう治らない」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、決してそのようなことはありません。

ご自身の症状を正しく理解し、段階に合わせた適切な治療を受けることで、進行を食い止めて健康な歯茎を取り戻すことは十分に可能です。

この記事では、歯周病の原因から進行度別の具体的な治療法、費用や期間の目安までを詳しく解説します。

治療は歯科医院で行う専門的なケアと、ご自身で行う日々のケア、このプロのケアとセルフケアの二人三脚で進めることが成功の鍵となります。

なおみ

歯茎が腫れるのは、年だからだと思っていました…

青木院長

いえ、年齢に関わらず細菌が引き起こす病気なので、原因を取り除けば改善します

この記事を監修した人

歯科医師/院長 青木 英明(あおき ひであき)
資格・所属団体 日本抗加齢医学会 専門医、日本矯正歯科学会、日本顎咬合学会、茨城インプラント研究会、日本健康医療学会、日本歯科人間ドック学会

目次

歯周病は手遅れではない病気、治療の全体像と流れ

歯医者で歯周病治療について説明を受ける男性

まずは歯周病がどのような病気なのかを理解し、治療の全体像を把握することから始めましょう。

歯周病の正体、細菌によるお口の感染症

歯周病は、加齢による単なる老化現象ではなく、お口の中にいる細菌が引き起こす「感染症」です。

歯の表面に付着するネバネバとした歯垢(プラーク)は、実は細菌の塊であり、わずか1mgの中に1億個以上もの細菌が生息しています。

この細菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起こり、進行すると歯を支える骨を溶かしてしまうのです。

つまり、この原因である細菌の塊、プラークとその石灰化物である歯石を徹底的に除去することが、治療の根本となります。

歯周病治療の基本的なステップ、歯周基本治療からメインテナンスまで

歯周病治療は、どんな進行度であっても「歯周基本治療」という土台の治療から始まります。

これは、歯周病の原因であるプラークや歯石を取り除き、細菌が増えにくい清潔な口腔環境を作ることが目的です。

治療は以下のステップで計画的に進められます。

この一連の流れを着実に進めることで、歯周病の進行を食い止め、健康な状態を長く維持することが可能になります。

なぜ治療で歯茎の腫れや出血が改善するのか

歯茎が腫れたり、歯磨きのときに出血したりするのは、細菌の毒素に対して体が反応し、異物を排除しようとする「防御反応(炎症)」のサインです。

例えるなら、お口の中で常に火事が起きているような状態です。

治療によって原因であるプラークや歯石が除去されると、この炎症反応が治まります。

火事の原因がなくなることで、早ければ2〜3週間ほどで歯茎の腫れや赤みが引き、引き締まった健康なピンク色の状態に戻っていくのです。

なおみ

治療したら、逆に歯茎が下がって隙間ができたように感じるのですが…

青木院長

それは腫れが引いて、歯茎が健康的に引き締まった証拠なので安心してください

つまり、腫れや出血がなくなるのは、見た目がきれいになるだけでなく、お口の中の炎症がなくなり、体が健康な状態を取り戻したことを意味します。

歯周病を放置するリスク、歯の喪失から全身の病気まで

歯周病を放置した場合の最大のリスクは、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が溶け続け、最終的には歯が自然に抜け落ちてしまうことです。

硬いものが噛めなくなり、食事を楽しむことが困難になります。

しかし、リスクはお口の中だけにとどまりません。

歯周病菌が歯茎の血管から体内に侵入し、血流に乗って全身を巡ることで、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、認知症など、命に関わる病気のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。

歯周病の治療は、大切な歯を守るためだけでなく、全身の健康を維持するためにも不可欠なものなのです。

【進行度別】ご自身の症状は?歯周病の治療法と期間・費用の目安

歯周病が進行する4つの段階を表すイラスト 健康な歯茎から歯を支える骨が溶けて失われるまでの様子

歯周病の治療は、まずご自身の症状がどの段階にあるのかを正しく知ることから始まります。

進行度によって治療法や期間、費用は大きく異なりますが、どの段階からでも治療を開始することは可能です。

怖がらずに、まずはご自身の「現在地」を確認しましょう。

ご自身の症状と照らし合わせて、大まかな目安を把握しておくことで、安心して治療に臨むことができます。

大切なのは「手遅れかも」と諦めずに、専門家である歯科医師に相談することです。

初期症状(歯肉炎)、歯磨き指導とスケーリングで改善

歯肉炎とは、歯周病の初期段階であり、炎症が歯茎だけにとどまっている状態です。

まだ歯を支える骨は溶かされておらず、適切な対処で健康な状態に戻すことが可能です。

治療の中心は、歯科衛生士による専門的なクリーニング「スケーリング」で歯石を除去することと、毎日の歯磨きの質を高めるためのブラッシング指導です。

通常、2回から4回程度の通院(期間にして1ヶ月〜2ヶ月)で、歯茎の腫れや出血は改善します。

なおみ

歯磨きで血が出るだけだから、まだ大丈夫ですよね…?

青木院長

いいえ、歯肉炎は歯周病が始まっているサインです。この段階で対処することが、将来ご自身の歯を守るための最も効果的な方法ですよ

この段階で正しいセルフケアを身につけることが、歯周病の進行を食い止めるための重要な鍵となります。

中等度の症状(軽度から中等度歯周炎)、歯茎の奥の歯石除去(SRP)

軽度から中等度の歯周炎は、炎症が歯茎の奥まで広がり、歯を支える骨が溶け始めた状態を指します。

歯と歯茎の溝である「歯周ポケット」は4〜6mmほどの深さになり、ご自身の歯磨きだけでは汚れを取り除くことが困難になります。

この段階では、「スケーリング・ルートプレーニング(SRP)」という治療が中心です。

これは、歯茎で隠れた歯の根の表面にこびりついた歯石や細菌を、専用の器具を使って徹底的に除去する処置です。

通常、お口の中をいくつかのブロックに分け、4回から8回程度の通院を重ねて行います。

なおみ

歯茎の奥の治療って、痛いんじゃないかしら…?

青木院長

治療の際には麻酔を使用しますので、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。どうぞ安心してくださいね

SRPによって歯周病菌の温床となる歯石を取り除くことで、歯茎の炎症を鎮め、病気の進行を食い止めることを目指します。

重度の症状(重度歯周炎)、歯周外科治療や再生治療という選択

重度歯周炎になると、歯を支える骨が半分以上失われ、歯がグラグラと動揺するようになります。

歯茎から膿が出たり、硬いものが噛めなくなったりと、日常生活にも支障が出始めます。

基本治療(SRP)だけでは改善が難しい深い歯周ポケットに対しては、「歯周外科治療(フラップ手術)」という選択肢があります。

これは麻酔をして歯茎を一時的に開き、歯の根を直接目で確認しながら徹底的に清掃する外科処置です。

さらに、条件が合えば失われた骨を回復させる「歯周組織再生療法」も可能です。

保険適用の「リグロス」という薬剤を使う方法もあります。

なおみ

手術や再生治療なんて、すごく痛そうで心配です…

青木院長

ご安心ください。まずはご自身の状態にどの治療が最適かしっかりと診断し、相談しながら進めましょう

外科的なアプローチによって、これまで諦めかけていた歯を残せる可能性が広がります。

残念ながら抜歯という判断になるケース

多くの歯周病治療は歯を残すことを目的としますが、歯を残すこと自体がお口全体の健康に悪影響を及ぼす場合は、残念ながら抜歯という判断に至ることがあります。

具体的には、歯を支える骨がほとんどなくなり機能を取り戻すのが困難な場合や、歯の根が割れてしまっているケースです。

このような歯を無理に残しておくと、周囲の健康な歯の骨まで溶かしてしまうリスクがあります。

抜歯はあくまで最終手段であり、歯科医師がさまざまな角度から検討し、患者様と十分に相談した上で決定します。

大切な歯を失うことはつらい決断ですが、お口全体の未来を守るための前向きな治療の一環と捉えることも重要です。

治療の成功を左右する専門ケアとセルフケア

歯医者と患者が協力して医療の専門ケアとセルフケアの歯車を動かしている

歯周病治療の成功は、歯科医院で行う専門的な治療と、患者様ご自身の日常的なお手入れの両方にかかっています。

この二つは、いわば車の両輪のようなもの。

歯科医院で細菌の温床を徹底的に除去し、その良い状態をご自宅でのケアで維持し続ける、このプロのケアとセルフケアの二人三脚が揃って初めて、治療は成功へと向かいます

歯科医院で行う治療には、歯周病の進行度に応じて様々な選択肢があります。

ご自身の状況を理解し、どのような治療が行われるのかを知ることが、安心して治療に臨むための第一歩です。

これらの専門的な治療で得られた成果を無駄にしないためにも、ご自身のセルフケアが何よりも重要になります。

歯科医院での治療とご自宅でのケア、両方を正しく理解し、実践していきましょう。

歯科医院で行うプロのケア、スケーリングとルートプレーニング

歯周病治療の基本であり、すべての治療の土台となるのが「スケーリング」と「ルートプレーニング」です。

スケーリングは、歯の表面や歯茎の境目に見える歯石を超音波の器具や手用の器具で取り除く処置です。

一方、ルートプレーニングは、歯周ポケットの奥深く、歯の根(ルート)の表面にこびりついた歯石や細菌に汚染された歯の表層を取り除き、表面をツルツルに磨き上げる処置を指します。

歯周ポケットの深さが4〜6mm程度の中等度の歯周病では、この治療を数回に分けて行います。

歯茎の中の処置で痛みを感じそうな場合は、事前に麻酔を使用しますので、ほとんど痛みを感じることなく治療を受けられます。

この処置によって、歯周病菌が繁殖する足場がなくなり、歯茎の炎症が改善へと向かいます。

なおみ

歯石を取ると歯がしみるって本当ですか?

青木院長

はい、治療後に一時的にしみることがあります。これは歯石で覆われていた歯の根が露出し、刺激に敏感になるためです。しかし、健康な歯茎に回復していく過程での症状で、正しい歯磨きを続けることで次第に落ち着いていきます

スケーリングとルートプレーニングは、歯周病の原因を根本から取り除くための不可欠なステップです。

この治療を丁寧に行うことで、歯茎は本来の引き締まった健康な状態を取り戻し始めます。

歯茎の奥の汚れを取り除く歯周外科治療、フラップ手術

歯周基本治療を行っても、歯周ポケットが深く残ってしまい改善が見られない場合に行われるのが「フラップ手術(歯肉剥離掻爬術:しにくはくりそうはじゅつ)」です。

これは、局所麻酔をした上で歯茎を一時的に切開して開き、歯の根を直接目で確認しながら、スケーリングやルートプレーニングでは取りきれなかった奥深くの歯石や感染した組織を徹底的に除去する外科治療です。

歯周ポケットの深さが6mmを超えるような重度の歯周病に適用されることが多い治療法です。

手術時間は処置する歯の本数にもよりますが30分から1時間半程度で、術後の痛みや腫れも、処方される痛み止めや抗生剤で十分に管理できます

フラップ手術は、重度の歯周病から歯を守り、これ以上の悪化を防ぐための効果の高い治療法です。

手術と聞くと不安を感じるかもしれませんが、歯を長期的に残すためにはとても有効な選択肢となります。

失った骨の回復を目指す再生治療、リグロスとエムドゲイン

歯周組織再生治療」は、歯周病で溶けてしまった歯を支える骨(歯槽骨)などの組織を、特殊な薬剤の力を借りて再生させる先進的な治療法です。

フラップ手術を行う際に、骨が失われた部分に薬剤を塗布することで、歯周組織が再生するための足場を作り、ご自身の治癒能力を引き出します。

代表的な薬剤として、日本で開発され保険適用となった「リグロス®」と、世界中で豊富な実績を持つ自由診療の「エムドゲイン®ゲル」があります。

2016年にリグロスが保険適用(3割負担で約20,000円〜)となったことで、より多くの方が再生治療を受けやすくなりました

なおみ

誰でも再生治療は受けられますか?

青木院長

いいえ、この治療法は、骨が特定の形で失われているなど、適応できる条件が限られています。まずはレントゲン撮影などの精密な検査を行い、再生治療が可能かどうかを診断する必要があります

歯周組織再生治療は、すべてのケースに適用できるわけではありませんが、条件が合えば失われた骨を回復させ、歯の寿命を延ばすことが期待できる希望の大きい治療法です。

治療の痛みを抑えるレーザー治療という選択肢

レーザー治療」は、特定の波長の光エネルギーを使って歯周ポケット内の細菌を殺菌したり、炎症を起こしている歯肉を取り除いたりする治療法です。

外科処置が苦手な方や、できるだけ痛みを避けたいと考える方にとって、心強い選択肢の一つとなります。

レーザー治療は、メスを使用しないため、痛みが少なく出血もほとんどないのが大きなメリットです。

また、レーザーの熱エネルギーには組織の治癒を促進する効果も期待でき、治療後の回復が早い傾向にあります。

ただし、レーザーだけで歯石そのものを取り除くことはできないため、基本的にはスケーリングやルートプレーニングと併用して、補助的に行われます。

痛みに対する不安が強い方にとって、レーザー治療は治療へのハードルを下げてくれる有効な方法です。

ただし、補助的な治療法という位置づけを理解し、ご自身の症状に本当に適しているかを歯科医師とよく相談することが大切です。

治療効果を高めるご自身のセルフケア、正しい歯磨きの実践

歯科医院で行う専門的な治療の効果を最大限に引き出し、長期的に良い状態を維持するために最も重要なのが、患者様ご自身が行う「毎日の正しい歯磨き(セルフケア)」です。

せっかくプロのケアで歯周病菌の巣窟である歯石を取り除いても、日々の歯磨きが不十分であれば、細菌の膜である歯垢(プラーク)は再び付着し、歯周病は容易に再発してしまいます。

例えば、1ヶ月に1度歯科医院でクリーニングをしても、残りの約29日間、ご自宅でのケアが不十分だとお口の中はすぐに元通りになってしまいます。

治療の成功は、毎日のセルフケアにかかっていると言っても過言ではありません。

特に、歯ブラシだけでは6割程度の汚れしか落とせないため、歯と歯の間の汚れを落とす歯間ブラシやデンタルフロスの使用が不可欠です。

なおみ

毎日ちゃんと磨いているつもりなんですが…

青木院長

「磨いている」ことと「磨けている」ことは、実は違うことが多いのです。歯科医院でご自身の磨き癖を専門家にチェックしてもらい、どこが苦手なのかを把握することが、セルフケアを上達させる一番の近道です

歯周病治療は、歯科医師や歯科衛生士に「治してもらう」ものではなく、ご自身が主体となって「治していく」病気です。

日々の丁寧なセルフケアこそが、治療の成否を分け、ご自身の歯と健康を守る最大の鍵となります。

歯周病の治療の痛みや費用、治療後の見た目に関する不安

鏡で歯茎をみて驚く女性

歯周病治療を始めようとする時、多くの方が「治療は痛いのではないか」「費用はどのくらいかかるのだろうか」「治療後に歯茎が下がったりしないだろうか」といった不安をお持ちです。

これらの不安を事前に解消し、安心して治療の第一歩を踏み出していただくことが何よりも大切です。

治療に伴う痛みや費用、そして治療後の見た目の変化には、それぞれ理由があります。

これらの点について、歯科医院で事前の説明をしっかりと受け、疑問点を解消しておくことで、安心して治療に臨むことができます。

治療中の痛みに対する配慮、麻酔の使用

歯科治療に対して「痛い」「怖い」というイメージをお持ちの方は少なくありません。

しかし、現代の歯周病治療では、痛みをできる限り抑えるための様々な工夫がなされています。

痛みを伴う可能性のある歯茎の奥の歯石除去(ルートプレーニング)や歯周外科治療では、必ず局所麻酔を使用します。

これにより、治療中の痛みを感じることはほとんどありません。

さらに、麻酔注射そのものの「チクッ」とした痛みを和らげるため、多くの歯科医院では事前に歯茎の表面に塗るタイプの「表面麻酔」を用いています。

治療時間は処置内容によりますが、約30分から1時間半ほど、リラックスして受けていただくことが可能です。

なおみ

注射自体が怖くて、治療をためらってしまいます…

青木院長

ご安心ください。表面麻酔を使ったり、極細の針を使ったりと、注射の痛みもできるだけ少なくする工夫をしていますよ

痛みに敏感な方や不安が強い方は、治療を始める前に遠慮なく歯科医師や歯科衛生士にお伝えください。

患者さんの状態に寄り添い、きめ細かく対応します。

治療後に歯がしみる一時的な症状とその対処法

治療後に一時的に歯が冷たいものなどでしみるようになることがあります。

これは知覚過敏と呼ばれる症状で、治療が順調に進んでいるサインの一つです。

この症状は、歯の根にこびりついていた歯石が除去され、今まで覆われていた歯の根の表面が露出することで起こります。

神経が外部の刺激に敏感になるためですが、一過性のものがほとんどで、通常は数日から数週間ほどで自然に落ち着きます。

なおみ

治療したのに、しみるようになって悪化したのでは?と不安です

青木院長

大丈夫です。それは歯が健康を取り戻そうとしているサインです。しばらく様子を見ましょう

しみる症状が気になる場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を使うと症状が和らぐことがあります。

痛みが長く続いたり、我慢できなかったりする際は、歯科医院で歯の表面に薬を塗布する処置も可能ですので、ご相談ください。

治療で歯茎が下がる理由、健康な状態へ回復した証

「治療をしたら、歯茎が下がって歯が長くなったように見える」「歯と歯の間に隙間ができてしまった」と驚かれることがあります。

しかし、これは炎症でブヨブヨに腫れていた歯茎が引き締まり、健康な状態に回復した証拠なのです。

歯周病が進行すると、歯茎は細菌の出す毒素によって炎症を起こし、赤く腫れあがります。

この異常な腫れが治療によって引くことで、歯茎は本来あるべき健康な位置まで引き締まります。

その結果、今まで腫れた歯茎や歯石で隠されていた歯の根元部分や歯と歯の間の隙間が見えるようになるのです。

なおみ

見た目が悪くなった気がして、少しショックです…

青木院長

お気持ちは分かります。でも、それは病的な状態から健康な状態へ回復した喜ばしい変化なのですよ

この見た目の変化は、歯周病の進行を食い止め、ご自身の歯を長く守るための大切なプロセスです。

食べ物が挟まりやすくなる場合は、歯間ブラシなどを使い、ケアを続けましょう。

保険適用と自由診療における費用の違い

歯周病治療にかかる費用は、治療法が「保険適用」か「自由診療(自費診療)」かによって大きく異なります

日本の優れた国民皆保険制度により、歯周病の基本的な治療は多くの方が少ない自己負担で受けられます。

保険適用されるのは、歯周病の検査、歯磨き指導、スケーリング、ルートプレーニング、歯周外科治療(フラップ手術)、そして再生治療薬であるリグロス®︎を用いた治療などです。

一方で自由診療は、より先進的な材料や技術を用いる治療が対象となり、再生治療薬のエムドゲイン®︎や、多くのレーザー治療などがこれにあたります。

例えば、保険適用の再生治療リグロス®は3割負担で約20,000円からですが、自由診療のエムドゲイン®は1歯あたり約50,000円から150,000円が相場です。

なおみ

自由治療でしっかり治療をしたいと思ってます

青木院長

必要性やご希望に応じて自由診療の選択肢をご提案しますので、ご安心ください

自由診療はあくまで選択肢の一つであり、そのメリット・デメリット、費用について十分に説明を受け、ご自身が納得した上で選択することが何よりも大切です。

治療後の健康を維持するための定期検診の重要性

歯周病の治療がひと通り終わっても、それで完了ではありません。

治療によって取り戻した健康な口腔環境を長く維持していくためには、プロによる定期検診(メインテナンス)が絶対に不可欠です。

歯周病は、日々の生活習慣にも原因がある「生活習慣病」の一面を持ち、再発のリスクが高い病気です。

毎日の歯磨きを丁寧に行っていても、磨き癖などによって少しずつ汚れは溜まっていきます。

この歯磨きでは落としきれない細菌の膜(バイオフィルム)を破壊するために、3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診が鍵となります。

なおみ

治療が終わったのに、また通わないといけないのですか?

青木院長

はい、良い状態を維持するために通っていただくのです。いわば、お口の健康診断のようなものですよ

定期検診は、万が一再発した場合の治療にかかる時間や費用と比べれば、最も効率的な健康への投資といえます。

私たち歯科医師・歯科衛生士が、みなさんの大切な歯を一生守るためのパートナーとなります。

よくある質問(FAQ)

歯周病の治療はなぜ何回も通う必要があるのですか?一度で終わりませんか?

歯周病治療には丁寧なステップが必要になるため、複数回の通院をお願いしています。

歯周病の原因は、歯の表面だけでなく歯周ポケットという歯茎の深い溝の中に隠れた歯石です。

この歯石を一度に全て取ろうとすると、体への負担が大きくなります。

そのため、お口の中をいくつかのブロックに分けて、一回一回確実に汚れを除去していきます。

また、治療の効果を確認しながら進めることも、再発を防ぐ上で非常に重要です。

少し長く感じるかもしれませんが、着実な歯周病治療が将来の歯を守る一番の近道になります。

フラップ手術などの外科治療を受けた後、食事はどうすればいいですか?

手術当日は、麻酔が完全に覚めるまで(2〜3時間)お食事を控えてください。

その後は、治療した部分に刺激を与えないよう、反対側の歯で噛むようにしましょう。

おかゆやスープ、ゼリーなど、あまり噛まなくても食べられる柔らかいものがおすすめです。

香辛料などの刺激物や、硬い食べ物は、歯茎の傷口が治るまで1週間程度は避けてください。

自宅での歯磨きの際、歯間ブラシやフロスはどんなものを選べば良いのでしょうか?

歯と歯の間の隙間の大きさに合わせて選ぶことが大切です。

歯間ブラシは、無理なく挿入できて、スカスカすぎないサイズを選びます。

初めて使う方は、一番細いサイズから試してみるのが良いでしょう。

一方で、歯と歯が接していて隙間がない部分には、糸ようじタイプのデンタルフロスが適しています。

どちらを選べば良いか迷う場合は、歯科衛生士がみなさんのお口の状態に合った最適な道具とサイズをアドバイスしますので、定期検診の際に気軽にご相談ください。

歯周病の専門医がいると聞きましたが、普通の歯科医院と何が違うのですか?

歯周病専門医は、専門の研修施設で数年間、歯周病治療に関する高度な知識と技術を学び、厳しい審査に合格した歯科医師のことです。

特に重度の歯周病や、再生治療のような専門性の高い外科処置において、より豊富な経験を持っています。

もちろん、多くの歯科医院で質の高い歯周病治療は受けられます。

しかし、症状が重い場合や、より専門的な意見を聞きたい場合には、専門医に相談することも一つの選択肢です。

薬を飲むだけで歯周病は治るのでしょうか?

残念ながら、を飲むだけでは歯周病は治るとは言えません。

歯周病の根本原因は、歯の根にこびりついた歯石という細菌の塊です。

抗生物質などの薬は、歯茎の腫れ出血といった症状を一時的に抑えることはできますが、原因である歯石を除去しない限り、細菌は再び増殖してしまいます。

治療の基本は、スケーリングルートプレーニングといった専門的な処置で原因を物理的に取り除くことです。

薬はあくまで、その治療を補助する役割を果たします。

市販の歯周病用歯磨き粉や塗り薬は、治療に効果がありますか?

市販の歯磨き粉や薬には、歯茎の炎症を抑えたり、出血や口臭を防いだりする成分が含まれているものがあります。

これらは日々のセルフケアを助ける補助的な役割として有効です。

しかし、歯周病の根本的な原因である歯周ポケットの奥の歯石を取り除くことはできません。

したがって、市販品だけで歯周病の治療をすることは不可能です。

まずは歯科医院で原因をしっかり取り除くことが大切で、その上で補助として活用するのが良い方法です。

歯周病の治療を途中でやめてしまったら、どうなりますか?

治療を中断すると、取り切れなかった歯石を足場にして歯周病菌が再び活発に増殖し、以前よりも症状が悪化する可能性があります。

歯茎の腫れや出血、が再発し、歯を支える骨がさらに溶けてしまうことも少なくありません。

そうなると、抜歯しか選択肢がなくなることもあります。

歯周病治療をしないとどうなるかという最悪の事態を避けるためにも、治療を最後までやり遂げることが重要です。

ご都合が悪くなった場合も、自己判断で中断せず、必ず歯科医院にご相談ください。

最新のレーザー治療なら、痛みもなく一回で歯周病が完治しますか?

レーザー治療は、歯周ポケット内の殺菌や炎症を抑えるのに効果的で、歯周病治療は痛いというイメージを払拭する、痛みが少ないという大きな利点があります。

しかし、レーザーの光だけでは、歯に硬くこびりついた歯石そのものを完全に除去することはできません。

そのため、歯周病治療の基本である歯石除去(スケーリングなど)と組み合わせて、補助的に用いるのが一般的です。

レーザー治療は有効な選択肢の一つですが、それだけで完治するわけではないのです。

まずはご自身の状態を正確に診断し、最適な予防と治療法を一緒に考えましょう。

まとめ

歯周病は「もう治らない」と諦める必要はありません。

適切な治療とケアを行えば、歯周病の進行を食い止めて健康な歯茎を取り戻すことは十分に可能です。

この記事では、初期の歯茎の腫れや出血から重度の膿まで、症状の段階に応じた治療法を詳しく解説しました。

歯茎の腫れや出血など、気になる症状があれば「もう手遅れかも」と一人で悩む必要はありません。

まずは専門家である歯科医師に相談し、ご自身の状態を知ることから始めましょう。

歯周病治療3週間集中プログラムの症例一覧

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