歯茎の腫れの治し方|すぐにできる応急処置5選と市販薬の効果

歯茎の腫れの治し方|すぐにできる応急処置5選と市販薬の効果

歯茎が腫れるのは、お口の異常を知らせる体からのサインです。

応急処置で痛みを和らげ、できるだけ早く歯科医院で原因を突き止めて治療することが、あなたの歯を守るために最も重要になります。

この記事では、痛みを和らげる応急処置から、歯周病や虫歯といった根本的な原因に合わせた専門的な治療法、再発を防ぐためのセルフケアまで、歯科医師がわかりやすく解説します。

なおみ

市販の薬で腫れが引けば、歯医者に行かなくても良いですか?

青木院長

薬は一時的に炎症を抑えるだけで、原因の細菌は残ったままです

この記事を監修した人

歯科医師/院長 青木 英明(あおき ひであき)
資格・所属団体 日本抗加齢医学会 専門医、日本矯正歯科学会、日本顎咬合学会、茨城インプラント研究会、日本健康医療学会、日本歯科人間ドック学会

目次

歯茎の腫れを放置する危険性|応急処置と歯科受診の重要性

歯茎が腫れるのは、お口の中の異常を知らせる体からのサインです。

放置すると歯周病が進行し、最悪の場合、歯を失うことにもつながります。

まずは応急処置で痛みを和らげ、できるだけ早く歯科医院を受診することが、あなたの歯を守るために最も重要です。

応急処置はあくまで一時的な対処であり、根本的な原因を解決するものではありません。

なぜ放置が危険なのか、その理由とリスクを理解し、専門家による適切な治療を受けましょう。

応急処置だけでは根本的に治らない理由

応急処置で痛みが和らぐと、治ったように感じてしまうかもしれません。

しかし、市販薬や塩水うがいなどは、腫れや痛みといった症状を一時的に抑える対症療法に過ぎません

歯茎が腫れる根本的な原因は、歯周病菌などの細菌の塊です。

例えば、歯周病は歯と歯茎の間に溜まったプラーク(歯垢)や歯石が原因で起こるため、専門的な器具を使わなければ原因である歯石を取り除くことはできないのです。

原因がそのまま残っていれば、体の抵抗力が落ちた時などに、症状は何度でも再発します。

根本的な原因を取り除かない限り、腫れを繰り返し、気づかないうちにお口の状態は悪化していきます。

自然治癒を期待して放置するリスク

軽い歯肉炎であれば、丁寧な歯磨きによって改善することもあります。

しかし、歯周病のように進行してしまった状態や、虫歯が原因で根の先に膿が溜まっている場合、自然に治ることは決してありません

「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、細菌の感染は静かに広がり続けます。

歯を支えている顎の骨が溶かされ、最終的には健康だった歯までグラグラになり、抜け落ちてしまうのです。

症状が軽いうちに対処すれば、治療も短期間で済み、身体的・経済的な負担も少なくなります。

歯茎のトラブルは歯科医院へ

歯茎の腫れや痛み、出血など、気になる症状があれば、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに専門家へ相談しましょう。

歯茎のトラブルは、かかりつけの歯科医院を受診してください

歯科医院では、レントゲン撮影や歯周ポケットの検査など、専門的な診査を通して腫れている原因を正確に突き止めます

そして、歯石の除去や根管治療、抗生物質の処方など、一人ひとりの原因に合わせた最も効果的な治療法を提案してくれます。

なおみ

どんな歯医者さんを選べば良いか分かりません

青木院長

症状や治療方針について、丁寧に説明してくれる歯科医院を選びましょう

歯科医院は、治療だけでなくお口の健康を守るパートナーです。

不安なことや分からないことは何でも相談し、安心して治療を受けて、健康な歯茎を取り戻しましょう。

今すぐできる歯茎の腫れを和らげる応急処置5選

歯茎の腫れと痛みで冷却パックを当てる女性と悲しむ二人の男性

歯茎が腫れて痛むと、食事や会話もつらくなり、不安な気持ちになりますよね。

歯科医院を受診する前に、まずはご自身でできる応急処置で症状を和らげることが重要です。

特に、炎症が起きている患部を優しく冷やすことが、痛みを抑える上で効果を発揮します。

これらの応急処置は、あくまで一時的に症状を緩和させるためのものです。

痛みが落ち着いても根本的な原因が解決したわけではないため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

濡れタオルや保冷剤で優しく冷やす

歯茎の腫れに伴う痛みは、炎症によって引き起こされます。

炎症とは体の防御反応の一つで、患部に血液が集まることで熱感や腫れ、痛みが生じる状態です。

頬の外側から濡れタオルやタオルで包んだ保冷剤を10分から15分程度当てて冷やすと、血管が収縮して血流が穏やかになり、痛みを和らげることができます。

なおみ

直接氷を口に含んでもいいですか?

青木院長

氷を直接当てると刺激が強すぎて、かえって痛みを増すことがあるので避けましょう

あくまで頬の外側から優しく冷やすことがポイントです。

熱いお風呂への入浴や飲酒、激しい運動は血行を促進して痛みを悪化させるため控えてください。

塩水うがいによる殺菌と腫れの緩和

塩水うがいは、浸透圧の作用を利用して歯茎の腫れを緩和させる、昔から伝わる民間療法の一つです。

コップ1杯(約200ml)のぬるま湯に小さじ半分の塩(約3g)を溶かして、1日数回うがいをします。

この処置で歯茎から余分な水分が排出されやすくなり、腫れが引く効果が期待できます。

なおみ

殺菌効果のあるうがい薬の方が良いのですか?

青木院長

アルコール成分を含む刺激の強い製品は避け、イソジンなどの殺菌成分を含むうがい薬を説明書に従って薄めて使うのも良い方法です

塩水にはマイルドな殺菌作用もあり、口の中を清潔に保つ助けになります。

ただし、高濃度の塩水は粘膜を傷つける恐れがあるため、正しい濃度を守って行いましょう。

我慢できない痛みに対する痛み止めの服用

どうしても痛みが我慢できない場合は、市販の痛み止め(鎮痛剤)を服用することも一つの手段です。

代表的な成分にはロキソプロフェンナトリウム水和物イブプロフェンが存在します。

ロキソプロフェンを配合した「ロキソニンS」や、イブプロフェンを配合した「バファリンプレミアムDX」などが薬局で購入可能です。

1日に服用できる回数や服用間隔は製品によって定められているので、必ず用法・用量を守って正しく使用してください。

痛み止めは、つらい症状を一時的に抑えるための対症療法です。

薬が効いて痛みが和らいでいる間に、歯科医院を受診する準備を進めることが大切です。

出血を恐れない丁寧な歯磨きによるプラーク除去

歯茎の腫れや出血の原因の多くは、プラーク(歯垢)です。

プラークは細菌の塊であり、これを取り除かなければ症状は改善しません。

出血すると不安になるかもしれませんが、それを恐れて歯磨きを怠ると、プラークがさらに蓄積して炎症が悪化する悪循環に陥ります。

毛のやわらかい歯ブラシを使い、歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに優しく磨きましょう。

なおみ

歯磨きすると血が出てしまうのですが、大丈夫でしょうか?

青木院長

炎症がある場所のプラークが除去できると、歯茎の状態が改善して出血は自然に止まりますので、丁寧なブラッシングを続けてください

歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってプラークをしっかりと除去することが、症状改善への近道です。

免疫力を高める十分な休息と安静

歯茎の腫れは、体の免疫力の低下とも深く関係しています。

疲れやストレスが溜まっていると、細菌に対する抵抗力が弱まり、炎症が悪化しやすくなるのです。

体を回復させるためには、7時間から8時間の質の良い睡眠を確保することが理想です。

栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に歯茎のコラーゲン生成を助けるビタミンCを意識して摂取しましょう。

体をしっかり休ませて免疫力を高めることは、歯茎の炎症を鎮めるための大切な土台作りです。

できるだけリラックスして過ごす時間を確保してください。

歯茎の腫れに効く市販薬の効果と選び方

洗面所で歯茎の腫れに薬を塗り困っている女性

急な歯茎の腫れや痛みに対して、市販薬は一時的に症状を和らげる助けになります。

しかし、最も重要なのは市販薬はあくまで応急処置であると理解することです。

根本的な原因を解決するためには、歯科医院での診断が欠かせません。

ここでは、症状に合わせて選べる市販薬の種類とそれぞれの特徴を比較します。

ご自身の症状やライフスタイルに合った市販薬を選び、つらい症状を一時的に緩和しましょう。

そして、できるだけ早く歯科医院を受診して、専門的な治療を受けることが大切です。

症状を一時的に緩和する市販薬の種類

歯茎の腫れに対応する市販薬は、その使い方によって大きく分けられます。

それぞれの薬は症状へのアプローチ方法が異なるため、特徴を理解して選ぶことが重要です。

薬のタイプは、患部に直接塗る「外用薬」、体の内側から作用する「内服薬」、そして毎日のケアで予防する「歯磨き粉」という主に3種類が存在します

痛みのある場所に直接効かせたいのか、日々の習慣でケアしたいのかによって、選ぶべき薬は変わります。

なおみ

どの薬を選べばいいのか分かりません…

青木院長

症状の強さや、薬を使いやすいと感じる場面に合わせて選ぶことが大切ですよ

どのタイプがご自身の生活に取り入れやすいか、またどの症状を一番抑えたいかを考えて選ぶと良いでしょう。

直接塗るペースト-ロート製薬のハレス口内薬

「ハレス口内薬」は、痛みや腫れがある患部に指で直接塗布して、有効成分を歯茎に浸透させる塗り薬です。

歯茎に留まりやすいペースト状のため、成分がしっかりと作用します。

この薬には、炎症を抑える成分や組織を修復する成分など、4つの有効成分が配合されており、歯肉炎や歯槽膿漏による痛み、腫れ、出血といったつらい症状を緩和する効果が期待できます。

特に痛みや腫れが気になる部分へ、ピンポイントで効果を届けたい場合に適した市販薬です。

歯磨きでケア-グラクソ・スミスクラインのカムテクト

「カムテクト」は、薬用成分が配合された歯磨き粉で、毎日の歯磨きを通じて歯周病を予防することに特化しています。

治療を目的とするのではなく、日々のセルフケアの質を高めるための製品です。

歯周病の原因となる細菌を殺菌する成分や、歯茎の炎症を抑える2種類の有効成分が配合されています。

継続して使用することで、歯肉炎や歯槽膿漏を防ぎ、健康な歯茎を保つ手助けをします。

治療というよりも、これからの歯茎の健康を守るための予防策として、日々のオーラルケアに取り入れたい方におすすめです。

市販薬の限界と使用上の注意点

市販薬で症状が楽になることもありますが、その効果はあくまで一時的な症状の緩和に過ぎないことを忘れてはいけません。

市販薬では、歯茎の腫れの原因となっている歯周病菌や歯石を取り除くことはできないのです。

用法用量を守って2~3日使用しても症状が改善しない場合や、かえって痛みが強くなるような場合は、すぐに使用を中止してください。

それは、市販薬では対応できない問題が隠れているサインです。

なおみ

薬を使っても良くならない時はどうすればいいですか?

青木院長

すぐに使用を中止して、歯科医院で専門家の診断を受けてくださいね

自己判断で長期間使用を続けると、根本的な原因が悪化し、治療がより困難になる可能性があります。

症状が続く場合は必ず歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けましょう。

歯茎の腫れを引き起こす主な原因と専門的な治療法

歯茎の腫れの痛みで頬を押さえる女性とひび割れた歯のイラスト

歯茎の腫れを放置すると、歯を支える骨が溶けて最終的に歯を失うリスクが高まります。

そのため、原因を正確に突き止め、それに合った専門的な治療を受けることが何よりも重要です。

歯茎の腫れは、お口の中の異常を知らせるサインと捉えましょう。

ご自身の症状がどれに近いか確認してみてください。

しかし、自己判断で放置するのは危険です。

根本的な解決のためには、歯科医師による診断が不可欠になります。

原因1-歯肉炎や歯周病

歯肉炎は歯磨きの磨き残しであるプラークによって歯茎にのみ炎症が起きている初期段階で、歯周病は歯肉炎が進行して歯を支える顎の骨にまで炎症が広がり、骨が溶かされてしまう病気です。

どちらも歯茎の腫れを引き起こす代表的な原因になります。

日本の成人のおよそ8割が、程度の差はあれ歯周病にかかっていると言われています。

プラーク(歯垢)1mgの中には約1億個もの細菌が存在し、この細菌が出す毒素によって歯茎が炎症を起こし、腫れや出血につながります。

なおみ

歯磨きで出血するのは、歯周病のサインなの?

青木院長

はい、出血は歯茎が炎症を起こしている明確な証拠です

歯肉炎の段階であれば、歯科医院でのクリーニングとご自宅での正しい歯磨きを徹底することで健康な状態に戻せます。

歯周病へ進行させないためにも、早めの対応が大切です。

原因2-虫歯の悪化による根の先の膿

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは、治療しなかった虫歯が歯の神経まで達して神経が死んでしまい、歯の根の先端部分で細菌が繁殖して膿の袋ができてしまう状態です。

この膿の袋が大きくなることで、歯茎がぷっくりと腫れあがります。

治療せずに放置すると、膿の袋は数ミリから1センチ以上にまで大きくなることもあり、顎の骨を徐々に溶かしていきます。

歯茎に「フィステル」と呼ばれる白いおできのようなものができることがありますが、これは溜まった膿を外に出すための出口です。

なおみ

歯茎にできたおできは、自分で潰しても大丈夫?

青木院長

ご自身で潰すと細菌が周囲に広がる危険があるため、絶対に触らないでください

この状態は、痛み止めを飲んでも自然に治ることはありません。

歯の内部を清掃・消毒する根管治療という専門的な処置が必要になるため、速やかに歯科医院を受診しましょう。

原因3-親知らず周囲の炎症

智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは、一番奥に生える親知らずがまっすぐに生えず、傾いたり歯茎に一部が埋まっていたりすることで、歯と歯茎の隙間に汚れが溜まり、細菌が繁殖して炎症を起こす病気です。

これも歯茎が腫れる大きな原因となります。

特に20代前後の若い世代に多く見られ、仕事の疲れやストレスなどで体の抵抗力が落ちた時に、急に痛みや腫れが強くなる傾向にあります。

悪化すると、口が開けにくくなったり、ものが飲み込みにくくなったりすることもあります。

なおみ

親知らずが腫れると、口が開けにくくなるのはどうして?

青木院長

炎症が口を開閉する顎の筋肉にまで及ぶと、筋肉がこわばって口を開けるのがつらくなることがあります

智歯周囲炎は一度症状が治まっても、体調によって何度も繰り返すことが多いです。

そのため、根本的な解決策として抜歯が選択されるケースが多くあります。

歯周病や虫歯に対する歯科医院での治療

歯科医院で行う歯周病や虫歯の治療は、原因である細菌とその温床となっているプラークや歯石、感染した組織を取り除くことが基本方針です。

痛みや腫れといった症状を抑えるだけでなく、再発しないお口の環境を作ることが目的となります。

歯周病治療では、まずスケーラーという専用の器具を使い、歯の表面や歯周ポケットの中に付着して硬くなった歯石を徹底的に除去します。

虫歯が原因で根の先に膿が溜まっている場合は、「ファイル」という細い器具で根の中を清掃・消毒する根管治療を数回に分けて行います。

いずれの治療も、一度で完了するものではありません。

治療後の良好な状態を維持するためには、ご自宅でのセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが成功の鍵を握ります。

抜歯も検討される親知らずの治療

親知らずが原因で歯茎の腫れや痛みを何度も繰り返している場合、将来的なリスクを取り除くための根本的な解決策として抜歯が第一の選択肢となります。

抜歯することで、清掃がしやすくなり、手前の健康な歯を守ることにもつながります。

ただし、腫れや痛みが強い急性期に抜歯を行うことはありません。

まずは抗菌薬や痛み止めを服用していただき、急性の炎症をしっかりと抑えることから始めます

腫れが落ち着いてから、レントゲンやCT撮影で親知らずの位置、根の形、神経との距離などを精密に検査し、安全に抜歯できるかを慎重に判断します。

なおみ

親知らずは、必ず抜かないといけないのですか?

青木院長

いいえ、まっすぐに生えていて歯磨きがしっかりできており、特に問題を起こしていない場合は、抜く必要はありません

抜歯には術後の痛みや腫れを伴うこともありますが、腫れを繰り返すストレスから解放され、お口全体の健康を維持できるメリットは大きいと言えるでしょう。

すぐに歯科医院を受診すべき症状のサイン

歯茎の腫れに加えて、以下のような症状が見られる場合は、炎症が周囲に広がっている可能性があり、ご自身での応急処置で様子を見ずに、すぐに歯科医院を受診すべきサインです。

例えば、顔の見た目が左右非対称になるほど腫れる、口が指1本分も開かない、高熱が出るといった症状は、感染が広がっている証拠であり、放置は危険です。

歯科医院での早急な対応が必要になります。

これらの症状を自覚した場合は、市販薬でごまかしたり自然に治るのを期待したりせず、迷わず歯科医院を受診してください。

早期の対処が、症状の悪化を防ぎ、治療期間を短くすることにつながります。

健康な歯茎を維持するための予防とセルフケア

歯科医師と歯科衛生士が女性患者の歯を診察している

歯科医院での治療が終わっても、再発を防ぐための日々のケアを怠っては意味がありません。

歯茎の腫れを二度と繰り返さないためには、毎日のセルフケアと定期的なプロのケアを組み合わせることが最も重要です。

ここからは、将来もご自身の歯で健康に過ごすための予防策についてお伝えします。

予防の基本となる正しいブラッシング技術

歯磨きの目的は、食べカスを取るだけでなく、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)を確実に除去することです。

特に歯と歯茎の境目はプラークが溜まりやすいため、意識して磨く必要があります。

歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で優しく当て、小刻みに動かす「バス法」という磨き方が推奨されています。

なおみ

自己流で磨いてきたけど、本当に合っているのでしょうか?

青木院長

一度、歯科医院でご自身に合った磨き方の指導を受けると、毎日のケアに自信が持てますよ

力を入れすぎると歯茎を傷つけ、逆効果になることもあります。

正しいブラッシング技術を身につけることが、健康な歯茎を維持するための第一歩です。

歯間ブラシやデンタルフロスによる口腔ケア

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に取り除くことはできません。

歯ブラシによるプラーク除去率は約60%といわれており、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、その数値を90%近くまで高めることが可能です。

歯と歯の間は虫歯や歯周病が最も発生しやすい場所のため、毎日のケアに取り入れましょう。

ご自身の歯の隙間の大きさに合ったサイズの歯間ブラシを選ぶことが重要です。

サイズがわからない場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談して、適切なものを選んでもらいましょう。

歯茎の健康を支える生活習慣の改善

お口の健康は、全身の健康と密接に関連しています。

特に喫煙やストレス、栄養バランスの偏りは、歯茎の抵抗力を弱め、歯周病を悪化させる大きな原因となります。

喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかるリスクが2〜8倍高くなり、治療の効果も出にくいことが分かっています。

なおみ

仕事のストレスもあって、生活習慣が乱れがちなのが気になっていたのよね

青木院長

まずは十分な睡眠をとることから始めてみませんか。体の免疫力を高めることが、歯茎の健康にもつながります

歯茎の炎症を抑え、組織の修復を助けるためにも、栄養バランスの取れた食事や質の良い睡眠を心がけることが大切です。

早期発見のための定期的な歯科検診

歯周病は「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれ、自覚症状がないまま静かに進行することが最も怖い点です。

痛みや腫れなどの症状が出たときには、すでに中等度以上に悪化しているケースが少なくありません。

そのため、症状がなくても定期的に歯科医院で検診を受け、お口の状態をチェックしてもらうことが不可欠です。

なおみ

歯医者さんは、悪くなってから行く場所だと思っていました

青木院長

これからは「治療」のためではなく、健康な状態を「予防」するために歯科医院を活用しましょう

3ヶ月から半年に一度の定期検診は、歯周病や虫歯の早期発見・早期治療につながります。

結果として、将来的な治療にかかる費用や時間を大きく節約することにもなるのです。

よくある質問(FAQ)

ストレスが原因で歯茎が腫れることはありますか

直接的な原因はプラーク(歯垢)ですが、ストレスは歯茎の腫れを悪化させる一因になります。

ストレスによって体の免疫力が低下すると、歯周病菌への抵抗力が弱まり、歯肉炎などの症状が出やすくなるのです。

日頃から丁寧なセルフケアで、お口を清潔に保つことが大切です。

歯茎の腫れを和らげるのに効果的な食べ物はありますか

食べ物だけで歯茎の腫れを治すことはできません。

しかし、歯茎の健康をサポートする栄養素を摂ることは、症状の改善や予防につながります。

歯茎の組織を作るコラーゲンの生成を助けるビタミンC(ピーマン、ブロッコリーなど)や、粘膜を強くするビタミンA(ニンジン、ほうれん草など)を意識して食事に取り入れましょう。

歯茎から膿が出ている場合、自分で出しても良いですか

膿をご自身で出すのは絶対にやめてください。

指や器具で無理に押し出すと、細菌が周囲の組織に広がり、症状がさらに悪化する危険があります。

膿が出ているのは、体からの危険信号です。

放置せず、すぐに歯科医院を受診し、適切な処置を受ける必要があります。

歯茎が腫れて歯磨きをすると出血しますが、磨き続けても大丈夫ですか

出血があっても、歯磨きをやめてはいけません。

出血は歯茎に炎症が起きているサインであり、その原因であるプラークを取り除くことが最も重要です。

ただし、ゴシゴシと強く磨くのは避けてください。

毛のやわらかい歯ブラシを使い、歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨くことで、炎症は次第に治まり出血もおさまります。

歯周病が原因の場合、治療で抗生物質は必ず使いますか

いいえ、歯周病治療で必ず抗生物質を使うわけではありません。

基本的な治療は、歯石やプラークといった細菌の塊を専門の器具で取り除くことです。

抗生物質は、歯茎が急激に腫れて痛みが強い場合や、外科的な処置を行う際に、補助的な薬として処方されることがあります。

親知らずが原因で腫れました。すぐに抜歯すべきですか

腫れや痛みが強いときは、まず炎症を抑える治療を優先します。

抗菌薬や痛み止めを服用し、うがい薬などで口腔ケアを行い、症状を落ち着かせることが第一です。

腫れが引いた後に、親知らずの状態や生え方などを精密に検査し、歯科医師と相談のうえで抜歯が必要かどうかを判断します。

歯茎の腫れや痛みは何科を受診すれば良いですか

歯茎のトラブルは、まずお近くの一般的な歯科医院を受診してください。

歯周病や虫歯など、ほとんどの原因は「歯医者さん」で診断と治療が可能です。

もし親知らずの抜歯などでより専門的な処置が必要な場合は、そこから口腔外科を紹介してもらう流れになります。

歯茎の腫れを放置すると、最悪どうなりますか

歯茎の腫れを放置する最も大きなリスクは、歯を失うことです。

歯周病が静かに進行し、歯を支えている顎の骨が溶けて、健康だった歯までグラグラになり、最終的には抜け落ちます。

また、歯周病菌が血液に乗って全身に広がり、糖尿病や心臓病などの全身疾患を悪化させる危険も指摘されています。

まとめ

歯茎の腫れは、応急処置で一時的に症状を和らげることはできますが、根本的な原因を解決するためには歯科医院での専門的な治療が不可欠です

この記事では、ご自宅ですぐにできる対処法から、歯周病や虫歯といった原因別の治療法、そして再発を防ぐための予防策までを解説しました。

歯茎からのサインを見過ごさず、気になる症状があればまずは歯科医院へ相談してください。

専門家による適切な診断と治療を受けることが、あなたの大切な歯を守るための最も確実な一歩となります。

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